トランプ大統領、日本との相互関税合意の思惑
2025.7.24
参院選で与党の過半数割れが報じられた翌日、待っていたように、日本との相互関税合意のニュースが流れた。第一報はトランプ大統領のSNSでの書き込みという、最近おなじみの報道形態である。マスコミもすべて後追い報道と化してしまっている。
トランプ大統領の外交、内政の政策を見ていると、すべてがトランプ氏及び応援する陣営の損得で発せられていると思う。かつては、アメリカ大統領の政策は、色々問題はあったけれども、善悪が基準であったように思うが、今や露骨に損得のみが前面に出ている。
トランプ大統領の関税政策も、トランプ氏の損得を考慮に入れれば大変分かりやすい。まずは大きな関税率を打ち出す。株価が大幅に下がることは損になるから、合意のために期限延長のような政策を打ち出し、株価の一方的な下落に歯止めを掛けながら、各国と交渉を行い合意を目指す。関税の25%が15%に下がれば、各国は得したように思うが、15%でも関税率は大幅に上げられているのである。
それを見て、株価も大きく戻し、トランプ大統領に損はなく、増えた関税はすべて国庫に入り、すでに打ち出している大幅減税策の原資になる。さらに時間はかかっても、諸外国に後れをとっているアメリカの諸産業が興隆して、大きな雇用を生むことになる。
本当にそんな思惑通りになるのであろうか。そもそも自動車産業のように、アメリカ発祥の業種が海外へ移っていったのは、輸入関税に問題があったからではない。海外のメーカーがきめ細かい工夫と努力を続けてきた結果である。
関税率がどんなに上がっても、アメリカへ輸出している各国の業者は、関税分を安易に値引きして輸出してはならない。輸入関税はアメリカ国民が払わなければならない税金だから、値引きしなければ、アメリカ社会に輸入品の物価の高騰という形で、たちまち帰ってくる。一方、国内産業の興隆で雇用が生まれるのは、可能であっても何年も先のことである。
損得勘定だけで実施した輸入関税政策は、アメリカ国民の不満で撤回されるのも、そんなに時間はかからないと思う。何もトランプ大統領の任期満了を待たなくてもよいだろう。
ところで、トランプ大統領の日本との相互関税合意は、日本の参院選で与党の大敗北を目にして、トランプ大統領の慌てぶりと見たのは自分だけだろうか。日本が政権交代すれば、日本政府の合意の努力は、ゼロに帰す。新政権が現政権以上の妥協案を出すことはまずないだろう。これは今のうちに妥結しておくべきだ。損得勘定だけのトランプ政権がことを急いだわけである。
(以上、すべて私見で、何か情報があってのことではありません)
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