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「蕉園渉筆」(漢文)を読む(46)本間蔚山

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  庭のデュランタ タカラヅカ、大きくなりすぎて 根元からバッサリ切り捨てたのだが 1年もしない内に新しく枝を伸ばして花を付けた 2026.8.30 今、 「 蕉園渉筆」を上中下、くらいに別けて冊子化しようと考えている。とりあえず(上)であるが、このブログで紹介した形が中心となる。とっつきにくい内容なので、写真なども入れて、楽しめるものとしたい。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 本間蔚山 下平川医生(本間二代)本間蔚山頗有利世之志、 隣邑上平川旱地、逐年困焉、 隔一山下平川水理甚便、 竊為隣邑謀、意匠已決、以費大而邑不給、歎息者久之、 里正来懇請数回、蔚山亦近時破産、不忍其懇請、 乃仮二百金劈山開渠通下平川水、 漑諸田畝民頼免古来之患、 蔚山之貧倍於往日云 (解読) 本間蔚山 (いさん) 下平川医生 (医者) (本間二代)、本間蔚山 (ほんまいさん) 頗 (すこぶ) る 利世 (りせい) の 志あり。 隣り邑 (むら) 、上平川旱地 (ひでりち ) で 逐年 (ちくねん) 困り、 一山 (ひとやま) 隔 (へだ) てた下平川、 水理 (すいり) 甚 (はなは) だ便 (べん) よく、 竊 (ひそ) かに隣り邑 (むら) のため 謀 (たばか) り 、 意匠 (いしょう) 已 (すで) に決め、 費 (ついえ) 大を以ってして、 邑 (むら) 給 (きゅう) せず。 歎息 (たんそく) はこれ久しく、 里正 (りせい) 来りて、数回 懇請 (こんせい) す。 蔚山また近時 (きんじ) 破産、 その懇請に忍 (しの) ばれず、 乃 (すなわ) ち、二百金 (二百両) を仮 (か) し、 山を劈 (さ) き渠 (みぞ) を開き、 下平川の水を通し、 諸 (しょ) 田畝 (でんぽ) を 漑 (うるお) し 、 民頼 (人々) の古来の患 (うれ) いを免ず。蔚山の貧 (ひん) 、 往日 (おうじつ) の倍になると云う。 (語注) ※ 利世(りせい)➔ 世の中に利益を与えること。世のためになること。 ※ 逐年(ちくねん)➔ 年々。 ※ 水理(すいり)➔ 地下水の通じる道筋。水脈。 ※ 謀る(たばかる)➔ ...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(45)怪談/掛蘭

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着生蘭の一種、風蘭(フウラン) (ネットより) ただし、「掛蘭」が風蘭であった可能性は低い 2026.8.29 どこへも行かず、何事もなし。したがって、天気模様も知れない。冷房に頼っていると、今日の暑さ加減も分からない。これでは少しまずかろうと思うが‥‥‥ 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 怪談 雨宮廟令、中村斎宮、好怪談、所聞必記、 若 所疑名字所処其人不告者 不遠千里往窮之、積 年所致盈数十冊、 近梓其十一云、亦州之一奇人也哉 (解読) 怪談 雨宮廟令 (天宮神社) 、 中村斎宮 、怪談を好み、聞く所、必ず記 (しる) す。 若 (も) し疑しき所、 名字 (苗字) 、所処 (しょしょ) 、其人、告げざるもの、 千里を遠くとせず往き、これを窮 (きわ) める。 積年 (せきねん) 、 盈 (み) ち致すところ数十冊、近くその十一を 上梓 (じょうし) すと云う。 また州 (遠州) の一奇人なるかな。 (語注) ※ 怪談 ➔ 「事実証談」遠江国天宮神社神主、中村乗高が二〇年余の歳月をかけて採集した霊異記。 ※ 雨宮廟令(あまみやびょうれい)➔ 森の天宮神社神主。 ※ 中村斎宮(なかむらさいぐう)➔ 中村乗高神主。 ※ 積年(せきねん)➔ 積もる年月。長い年月。多年。 ※ 上梓(じょうし)➔ 書物を出版すること。( 梓(あずさ)は 印刷用の版木。 ) (原文) 掛蘭 掛蘭都人所罕観、遠州山中処々有焉、 嘗看岡豊洲所齎帰対州山中之種花之香之深夐別、 不知今殖否 (解読) 掛蘭 掛蘭 (かけらん) 、 都人 (とじん) 罕 (まれ) に観る所、遠州山中、処々に有り。 嘗 (かつ) て、岡豊洲が齎 (もたら) し帰ったところの、対州 (対馬) 山中の種を看 るに、 花の香りの深く 夐別 (けいべつ) なり。今、殖 (ふ) やしたか否かを知らず。 (語注) ※ 掛蘭(かけらん)➔ 着生蘭。樹木の幹・枝・岩肌に根を張って生きる蘭。 ※ 都人(とじん)➔ 江戸に住む人。都に住んでいる人。 ※ 夐別(けいべつ)➔ はるかに異なる。格別である。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(44)船匠/茄子変

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変わった形のナス (ネットより) トサカに見えなくもない か 2026.8.28 今朝、昨日見えなかったKさんが見え、資料を渡す。読んでいただけるであろうか。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 船匠 相良、船匠賢諸州、故遠江嘱製造、地属扶桑第一之危灘、 造作之緻密而奇工為之故也 (解読) 船匠 相良、船匠 (せんしょう) 諸州で賢い。故に遠江、製造を嘱 (しょく) す。 地、扶桑 (ふそう) 第一の危灘 (き たん) に属す。 造作 (ぞうさく) の緻密 (ちみつ) にして奇工 (きこう) 、この為故なり。 (語注) ※ 船匠(せんしょう)➔ 船大工(ふなだいく)。 ※ 嘱(しょく)➔ 仕事などを頼みゆだねること。依頼。 ※ 扶桑(ふそう)➔ 日本の異称。 ※ 危灘(きたん)➔ 危険な、潮流の強い海洋または風波の荒い航行の難所。 ※ 奇工(きこう)➔ 珍しくてたくみな細工。奇巧。 (原文) 茄子変 西中村邑佃作於園邑、其所芸茄子累々結実、 一夜尽変為雄鶏頭形、愕見為凶兆、拔投河中 (解読) 茄子変 西中村邑 (むら) 、園邑 (そのむら) において佃作 (でんさく) す。其所で茄子を芸 (げい) す。 累々 (る いるい) 結実 (けつじつ) 、一夜にして、雄鶏 (おんどり) の頭の形 に 為 (な) り、変わり尽くす。 愕 (おどろ) き、凶兆 (きょうちょう) と見て、拔き、 河中 (かわなか) へ投ず。 (語注) ※ 佃作(でんさく)➔ 耕作。 ※ 芸(げい)➔ 草木を栽培すること。 ※ 累々(るいるい)➔ 同じ種類のものがいくつもかさなりあうさま。また、つらなるさま。 ※ 凶兆(きょうちょう)➔ 不吉な前兆。よくないことが起こる前ぶれ。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(43)蜘咬鼠/釜鳴

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白のサルスベリのそばに、寄り添うように 知らない内に生えて来た、赤いサルスベリの花が咲いた 白はほとんど花も終わり、赤白競演とはならなかった 2026.8.27 午前中、二日ほど前に電話した、若い古本屋さんから、電話があった。今、家族全員、コロナに罹って、仕事も休んでいるという。コロナはほとんどインフルエンザと症状に落ち着いたとはいうものの、感染力はかなりあるらしい。会って情報交換したいと思ったが、また後日、コロナが癒えてからという話になった。 それではと、大代のK氏に電話して、先日話に出た「大井河源記」の解読版を届けようと思うと話すと、手を捻挫して、午後は接骨医へ行くので、という。では日を改めて、と云おうとしたら、接骨医に行く帰りに寄ってくれるという。痛くては車の運転も儘ならないだろうと、心配していると、やはり寄るのは無理だったようで、夕方まで待ったが、見えなかった。 今日は二人の知人の災難の話が、重なった。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 蜘咬鼠 新街宇八家、鼠与小蜘蟲闘、遂咬鼠頭及腹殺之、 雛軻氏不云乎、小固不可以敵大、小亦有如斯者 (解読) 蜘咬鼠 (蜘蛛、鼠を咬 (か) む) 新街 (新町) 宇八家、鼠 (ねずみ) と小蜘蟲 (こぐも) 闘 (たたか) う。 遂に、鼠の頭及び腹を咬 (か) み、これを殺す。 鄙 (ひな) の 軻 (か) 氏云わざるや。 小は固 (もと) より、大を敵には出来ない。小またかくの如きもの有り。 (語注) ※ 鄙(ひな)➔ 都から離れた土地。田舎。 ※ 軻(か)➔ 荊軻(けいか)。「荊軻」は、中国戦国時代末期の刺客。燕の太子丹の命を受けて秦に赴き、秦王政(後の始皇帝)を策略を用いて暗殺しようとしたが失敗して殺された。 (原文) 釜鳴 往歳、波津(岡田氏)長兵衛家厨下釜鳴数日、家致千金、 近時福岡民家亦鳴数日、爾来家日衰、人云吉凶以時、 長兵衛家鳴以朝、福岡之民以夕鳴、所不同也 (解読) 釜鳴 往歳 (おうさい) 、波津(岡田氏)長兵衛家、 厨下 (ちゅうか) 釜鳴 (かまな) り数日、 家、千金致す。近時、福岡民家また鳴り数日、爾来 (じらい) 、家日に衰える。 人、時...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(42)天狗火/梅干

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昨日、駿河古文書会基礎講座会場シズウェル7階より   2026.8.26 朝から二度寝、昼寝と久しぶりにのんびりと過ごした。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 天狗火 秋葉廟令、夜帰無燭、謂説者云、不有天狗火者乎、 忽然空中懸火如白昼 (解読) 天狗火 秋葉山の管理人、夜帰るに燭 (あかり) 無し。 説者 (せつしゃ) 謂 (いわ) れを云う。 天狗火 (てんぐび) 、有らざる者か。 忽然 (こつぜん) 、空中に火懸 (か) かり白昼の如し。 (語注) ※ 説者(せつしゃ)➔ 説を立てる人。また、説を述べる人。 ※ 天狗火(てんぐび)➔ 日本各地に伝承のある怪現象。怪火の一種で、主に水辺に現れるとされる。 ※ 忽然(こつぜん)➔ にわかに。突然。 (原文) 梅干 遠州梅実萃於相良、為塩以送運于江都、 其製暑月日中、地上布席、 展曝塩梅、放受夜気、 数日紅色自発、一歳凡千金、用紫蘇者、減価云 (解読) 梅干 遠州梅の実、相良に萃 (あつ) まる。塩のため、以って、江戸に送運す。 その製、 暑月 (しょげつ) 日中、地上へ席 (むしろ) を布 (し) き、 塩梅を展 (ひろ) げ曝 (さら) し、 放 (ほう) り 、夜気を受け、 数日紅色に 自発 (じはつ) す。 一歳 (年) 凡そ 千金 (せんきん) 。 紫蘇 (しそ) を用いるもの、価 (価値) を減らすと云う。 (語注) ※ 暑月(しょげつ)➔ 暑い季節。夏。 ※ 放る(ほおる)➔ 思うままにする。ほうっておく。 ※ 自発(じはつ)➔ 外からの刺激なしに、ひとりでに起こること。 ※ 千金(せんきん)➔ 千両。   ( 続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(41)海嘯

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海嘯( 潮津波 )   2026.8.25 午後、先々週に続いて、駿河古文書会の基礎講座の講師をした。何とか、古文書解読講座を楽しんで貰いたいと、色々やってみたが、どうだったのだろう。基礎講座の30人程の受講者は、ベテランの方が多いので、少しやりにくい。細かい説明をすれば、そんなことは解っていると云われかねないと思うからである。 ともかく、今月の予定はすべて終わった。残りの何日かは、少し楽が出来るだろうか。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 卜風雨 相良船夫預卜風雨晦明及波高低、勝於他州船脚、 所必不爽、七年前善太者、艤将発曰、豆相之間必有海嘯、 人皆曰、海気平穏如何有海嘯也、後数日聞之、 豆之下田海嘯覆家傷人果同時也、善太稠中尤傑者云 (解読) 卜風雨 (風雨を卜 (うらな) う) 相良 船夫 ( せんぷ) 、風雨、 晦明 (かいめい) 及び波の高低を卜 (うらない) に預ける。 他州、 船脚 (ふなあし) において勝れ、必ずしも爽 (さわ) やかならざる所、 七年前、善太という者、 艤将 (ぎしょう) に発して曰く、 「 豆相 (ずそう) の間、必ず 海嘯 (かいしょう) 有り。」 人、皆な曰く、 「 海気 (かいき) 平穏、如何 (いか) に 海嘯 (かいしょう) あらんなり。」 数日後にこれを聞く。 豆 (伊豆) の下田、 海嘯 (かいしょう) 家を覆 (かえ) し、 人を傷つけ、同時に 果てるなり。 善太、 稠中 (ちゅうちゅう) もっとも 傑者 (けっしゃ) と云う。 (語注) ※ 船夫(せんぷ)➔ ふなのり。船頭。 ※ 晦明(かいめい)➔   暗さと明るさ。夜と昼。 ※ 船脚(ふなあし)➔ 船の進む速さ。船の速度。 ※ 艤将(ぎしょう)➔ 出航準備の船長。 ※ 豆相(ずそう)➔ 伊豆と相模。 ※ 海嘯(かいしょう)➔ 満潮の際、河口に入る潮波の前面が垂直の高い壁状になり、 砕けながら川上に進む現象。潮津波。 ※ 海気(かいき)➔ 海辺の空気。海のけはい。 ※ 稠中(ちゅうちゅう)➔ 沢山の人々の中。 ※ 傑者(けっしゃ)➔ ひときわ優れた者。 ( 続く)  ...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(40)田沼

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牧之原史料館前、田沼意次像   2026.8.24 明日の駿河古文書会基礎講座の準備を終えた。今月は中々忙しく、自分の古文書講座3講座に加えて、 駿河古文書会基礎講座2講座、金谷郷土史研の「竹下村誌稿」の講義一件と都合6件の講義があった。それも明日で最後となる。一ヶ月、6講座はいささか草臥れる。次の山は来年の3月になる。3月は全部で7講座が予定されている。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 田沼 癸未歳(文政六年也。此年四月蕉園赴任) 以封内一万石之地、換賜於摂州、所収三十邑、 賜諸参政田沼侯、以其旧封也、民慕 太公之仁、 愁訴数回、余以聞于 太公、公憐其為小侯之民、 然 台命不可回也、固其嘗所仮二千余金、折券賜之、 余又以聞曰、封内聞之欲為其民也、 公允余言速下 命、 合五千余金、同日折券、可謂賢明至仁之君矣 (解読) 田沼 癸未 (みずのとひつじ) 歳 ( 年) (文政六年なり。この年四月、蕉園赴任 (ふにん) ) 封内 (ほうない) 一万石の地を以って、摂州と換え賜 (たま) う。 三十邑 (村) の 所収 (しょし ゅう) 、参政田沼侯、諸 (もろもろ) 賜 (たま) わる。 その旧封を以ってなり。 民  太公 (たいこう) の 仁 (じん) を慕 (した) い、 愁訴 (しゅうそ) 数回、余以って、 太公に聞く。 公、小侯の民たるを憐 (あわれ) む。 然し、  台命 (たいめい) 回 (かえ) すべからざるなり。 これを賜 (たまわ) る。 固 (もと) より、 その嘗 (かつ) て 所 収 二千余金 折 券 (せつけん) 、 余また聞いて曰く、 封内 (ほうない) これを聞き、その民たるを欲するなり。  公、余の言を允 (ゆる) し、 速下 (即下) 、 合わせて五千余金を命じる。 同日 折券 (せつけん) 、賢明と謂 (い) うべし。仁の君に至る。 (語注) ※ 封内(ほうない)➔ 領内。 ※ 所収(しょしゅう)➔ ここでは、「年貢」のこと。 ※ 太公(たいこう)➔ 高齢の人をうやまっていう語。一橋治済のことか。 ※ 仁(じん)➔ 愛情を他に及ぼすこと。いつくしみ。なさけ。思いやり...