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「蕉園渉筆」(漢文)を読む(58)明照寺/天狗

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  松葉を背景にした、庭の萩の 花 2026.9.13 朝、竹下の大井神社の掃除当番で、一時間近く作業をした。落葉が境内を埋め尽くしていて、作業はやや大変であった。帰宅後、身体がだるくて、昼食後、4時過ぎまで寝ていた。熱があるわけでもなく、今はやり始めのインフルエンザではなさそうだが、ゆっくり休もう。 と云いながら、夜はアジア男子バレーボール選手権大会 をテレビ観戦。イランに3-0で勝ち、同大会に優勝して、ロスオリンピックの出場権を得た。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 明照寺 川崎明照寺、鏡昔網之海中、初無名、近時俗僧新銘之、 大失古色、文亦拙劣可厭 (解読) 明照寺 川崎明照寺、鏡、昔これを海中より網どる。初め無名、近時、 俗僧 (ぞくそう) 新しくこれを銘 (しる) す。 大いに古色 (こしょく) を失い、文また 拙劣 (せつれつ) 、 厭 (いと) うべし。 (語注) ※ 俗僧(ぞくそう)➔ 名利にとらわれている僧。俗人そのままの僧。 ※ 拙劣(せつれつ)➔ へたで幼稚なこと。程度が低く悪いこと。 (原文) 天狗 〇徳邑民部家側、有金山彦祠、老杉蓊鬱、天狗時々来、 民部放鳥銃、輙逃去、其夜来屋上、動揺寝室、至天明而止矣 (解読) 天狗 〇徳邑 (むら) 民部家側 (そば) 、 金山彦 (かなやまひこ) 祠 (ほこら) 有り。 老杉 蓊鬱 (おううつ) 、天狗時々来て、民部 鳥銃 (ちょうじゅう) を放つ。 輙 (すなわ) ち逃去、その夜、 屋上 (屋根の上) に来たり、寝室動揺す。 天明けに至り止む。 (語注) ※ 金山彦(かなやまひこ)➔ 鉱山の神とされる男神。 ※ 蓊鬱(おううつ)➔ 草木が盛んに茂るさま。 ※ 鳥銃(ちょうじゅう)➔ 小銃のこと。もと、鳥を撃つために使ったところからという。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(57)天狗/日本左衛門

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金谷宿、日本左衛門の首塚 2026.9.12 午後、金谷宿大学「静岡の考古学と歴史」講座へ出席した。今日は「宗祇と宗長」の話で、久しぶりに、宗長の「宗祇終焉記」に接した。過去に古文書の自己学習で読んだことがある。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 天狗 甲申冬貢馬鮫魚、駄而過金谷原、天狗下来欲奪、 原尽為火、不能進至、天明而焼失 (解読) 天狗 甲申 (文政七年) の冬、馬鮫魚 (さわら) を貢 (こう) ず。 駄 (だ) にして金谷原を過 (す) ぐ。 天狗下り来て、奪わんと欲す。 原、尽 (ことごと) く火を為す。 進み至り能 (あた) わず。天 (てん) 明 (あ) けて消え失せる。 (語注) ※ 駄(だ)➔ 馬が荷を負うこと。また、荷を負った馬。 (原文) 日本左衛門 日本左衛門本邦跖蹠也、享保中刑於遠之法場、 州豪商其所二入而竊一凡数十家、 尽破産亡家、 今僅存一家云 (解読) 日本左衛門 日本左衛門、本邦 (ほんぽう) 跖蹠 (せきせき) たり。 享保中、遠 (遠州) の 法場 (ほうじょう) にて処刑される。 州 (遠州) 豪商、それ入りて竊 (ぬす) む所、 凡そ数十家、尽 (ことごと) 破産、 家を失う。 今、僅 (わず) か一家存すると云う。 (語注) ※ 跖蹠(せきせき)➔ 足跡がいっぱい(?)。 ※ 法場(ほうじょう)➔ 死刑を執行する場所。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(56)灌水

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  庭のムラサキシキブ、実が色づいてきた 2026.9.11 中部電力が原発再稼働の手続きの不正で、何度もニュースになっている。謝り役の者が頭を下げるだけで、誰の指示で誰がやったことなのかを、はっきりさせないから、最悪の結果が続いていると思う。夕方のニュースの中で、NHKが市民に意見を求めた形で、講座受講者のS氏が出た。ほんの数秒のことで、びっくりして何を述べていたのか、聞き取り損ねた。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 灌水 相良之俗待女壻初来、誘灌河水、一民之女 嫁比木邑五郎兵衛者、待其来往灌水、 辞而不可、 乃入水乃潜溯流逃帰、衆驚急令水工徧捜河底、 不在、自此灌水止矣 (解読) 灌水 相良の 俗 (ぞく) 、 女壻 (じょせい) 初めて来たるを待ち、河水 (かわみず) を 灌 (そそ) ぐ に誘う。一人の民 (たみ) の女 壻 、比木 (ひき) 邑 (むら) 五郎兵衛という者、 その来たるを待ち灌水に往 (ゆ) く。辞 (じ) すれども不可 (ゆるさず) 。 乃 (すなわ) ち入水、乃ち潜 (もぐ) り、流れを溯 (さかのぼ) り、逃げ帰る。 衆 (しゅう) 驚き、急ぎ、水の工 (たくみ) をして、 徧 (あまねく) 河底を捜さしむ。 在 (お) らず。これより 灌水 止む。 (語注) ※ 灌水(かんすい) ➔ 農業用などで、水を灌ぐのいみ。ここでの俗は、 思うにみそぎの行事と思われる。ならば、文字は「禊(禊)」とすべきか。 ※ 俗(ぞく)➔ その土地や時代の風俗・習慣。 ※ 女壻(じょせい)➔ 娘のむこ。娘の夫。古くは家督を相続する娘の夫。 ※ 徧(あまねく)➔ すみずみまで。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(55)義士伝/住吉明神

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吉田町 住吉神社 2026.9.10 今日は涼しくなって、午後、薄いジャンバーを羽織って、掛川古文書講座へ出席した。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 義士伝 赤穂義士伝記、不知其幾数本、余嘗所覧凡五六種、 此木邑医家所蔵二十巻、蓋実録也、拠此書加他本及所伝聞、 各立伝作穂城史、未脱稿 (解読) 義士伝 赤穂義士伝記、その幾数 (いくかず) の本を知らず。余 (よ) 、嘗 (かつ) て、 凡そ五六種を覧 (らん) ずる所、 比木 (ひき) 邑 (むら) 医家所蔵二十巻、 蓋 (けだ) し 実録 (じつろく) なり。この書の拠 (よ) りどころに、 他本及び伝聞する所に加えて、各 (おのおの) 立伝 (りつでん) 、 穂城 (赤穂城) 史を作る。 未だ 脱稿 (だっこう) せず。 (語注) ※ 比木邑(ひきむら)➔ 城東郡比木村。現、御前崎市比木。 ※ 実録(じつろく)➔ 実際にあったことをそのまま記録した文書や本。事実の記録。 ※ 立伝(りつでん)➔ 人物の事績を立てて記すこと。人物伝を作ること。 ※ 脱稿(だっこう)➔ 原稿を書きおえること。 (原文) 住吉明神 吉田邑有住吉明神社、邑民喫鰻鯉必有神罪云。 里正林蔵過府中吏舎、喫煙話数刻、俄然 口吻腫脹、其日吏家焼鰻鯉、婢供其火喫煙也、 聞之起盥嗽謝神、即時如故 (解読) 住吉明神 吉田邑 (むら) に住吉明神 社あり。 邑民 (ゆうみん) 、鰻鯉 (うなぎ) を喫 (く) うと 必ず神罪 (罰) 有りと云う。里正 (名主) 林蔵、府中 吏舎 (りしゃ) にて過ごす。 喫煙、数刻話し、 俄然 (がぜん) 口吻 (こうふん) 腫脹 (しゅちょう) 、その日、 吏家 (りか) にて 鰻鯉 (うなぎ) を焼く。婢 (はしため) 、その火を喫煙に供 (きょう) すなり。 これを聞き、 盥嗽 (かんそう) を起こし、神に謝 (しゃ) す。即時 、故 (もと) の如し。 (語注) ※ 邑民(ゆうみん)➔ 村人。 ※ 吏舎(りしゃ)➔ 役所・官庁の建物。役人の詰め所。 ※ 俄然(がぜん)➔ にわかなさま。 ※ 口吻(こうふん)➔ 口さき。くちびる。 ※ 腫脹(...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(54)弓/卜陰晴

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  「蟹、樹に上ると必ず晴れ」 2026.9.9 朝、まきのはら塾「古文書解読を楽しむ」受講者のMさんから電話があり、体力的にもう受講が無理になったから、講座の受講を止めるという。講座最高齢で、年度初めに、どうしようか迷ったけれど、何とか一年続けようと決心したと聞き、受講されていたのだが、大変残念である。 今日の講座が終ってから、欠席された4回分の資料を、受講者の一人に届けてもらった。夕方、また電話があり、届けた資料の御礼と、出て来た「蕉園涉筆」のガリ版刷りの解読文書を、届けた女性に差し上げたと聞く。何と、話に聞いていた戦後まもなくに解読されたガリ版刷りがここに あった。是非見たいので、その受講者にコピーを頼もうと思った。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 弓 〇国家禁民講武、著在令甲諸州遵守而不敢犯、 所以防乱源也、 而遠州之民公然学射、問之伝云、 神祖所許不知何故也、 或云御方原役駿遠参三州従軍、 故許之云 (解読) 弓 〇国家、民 (たみ) に 講武 (こうぶ) を禁ず。著しく、甲諸州に 令 (れい) 在り。 遵守 (じゅんしゅ) して敢えて犯さず。乱の源 (みなもと) を防ぐ 所以 (ゆえん) なり。 而 (しか) して、遠州の民、公然と射 (い) るを学ぶ。これを問うに伝 (でん) 云う、 神祖、許す所、何故 (なにゆえ) か知らざるなり。或は云う、 御方原役 (三方ヶ原の戦い) 、 駿・遠・参、三州従軍 (じゅうぐん) 、 故にこれを許すと云う。 (語注) ※ 講武(こうぶ)➔ 武道を習うこと。武芸を鍛えること。 ※ 令(れい)➔ 命令。布告。また、法令。 ※ 遵守(じゅんしゅ)➔ 法律・道徳・道理などにしたがい、それを守ること。 ※ 所以(ゆえん)➔ わけ。いわれ。理由。 (原文) 卜陰晴 相良之民以波響及蟹挙樹、卜陰晴、問之曰、 蟹上樹必晴、波響在西必雨 (解読) 卜陰晴 相良の民、波の響き、及び蟹 (かに) 樹 (き) に挙 (あぐ) るを以って、 陰晴 (いんせい) を占う。これを問いて曰、「蟹、樹に上ると必ず晴れ、 波の響き、西に在ると必ず雨。」 (語注) ※ 陰晴(いんせい...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(53)冷酒清兵衛

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出世城と呼ばれる浜松城 だが、三方ヶ原の戦いで敗れた家康には 幾つか、みっともない話が、英雄譚のように残っている 2026.9.8 秋雨前線に台風24号くずれの熱低が乗っかって、日本列島、今日も雨ざかり、東京も名古屋も街が川のようになって、車が波を蹴立てて走っている。各地に線状降水帯が生じる、この天候は今週いっぱい続くらしい。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 冷酒清兵衛 神祖某役、戦敗従数騎遁帰於浜松城、途上患渇、 適一民牽馬伏拝于道傍、 腰着一瓢、大久保彦左衛門問之、 酒也、乃命奉之曰、走所口奈其不喫、強奉之、 後召曰腰下冷酒久不報、乃有賞賜々姓称冷酒清兵衛、 許酤戸不課、 由此子孫致富、住于浜松、近時有故破産、 官賜黄金若干再興其家 (解読) 冷酒清兵衛 神祖 (しんそ) 某役 (ぼうえき) 、戦いに敗れ、数騎を従え。 浜松城に遁 (のが) れ帰る 途上 、 患渇 (かんかつ) 、適 (たまたま) 、馬を牽 (ひ) く一人の民 (たみ) 、 道傍 (どうぼう) に 伏し拝む。腰に 一瓢 (いっぴょう) を着ける。 大久保彦左衛門、これを問う。 「酒なり」、乃 (すなわ) ちこれを奉じることを命じて曰く、 「走りて、口に 奈 (いかんぞ) 。 それ 喫 (きっ) せ ざる所、強いて、これを奉ぜよ。」 後に召して曰く、「腰下 (こしもと) 冷酒、久しく報 (むく) いず。乃ち、 賞賜 (しょうし) 有り。 冷酒清兵衛と称す姓を賜 (たま) い、課税なき 酤戸 (ここ) を許す。」 これにより、子孫 致富 (ちふ) 、浜松に住み、近時、故 (ゆえ) ありて破産、 官 (かん) 、黄金 (こがね) を若干 (じゃっかん) 賜 (たま) い、その家を再興す。 (語注) ※ 神祖(しんそ)➔ 徳川家康の尊称。神君。 ※ 某役(ぼうえき)➔ 信玄との三方ヶ原の戦いを指す。 ※ 患渇(かんかつ)➔ 喉が渇くこと。 ※ 道傍(どうぼう)➔ みちばた。路傍。 ※ 一瓢(いっぴょう)➔ 一つのひょうたん。一つのひさご。 ※ 奈(いかんぞ)➔ ある動作が不可能であることを表す。できない。 ※ 喫す(きっす)➔ 食う。...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(52)大沢寺

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  牧之原市波津、大沢寺 2026.9.7 大雨が続き、関東や東北は大変なようだ。当地は雨は降っているが、降ったりやんだりで、危険な降り方ではない。幸いと云うべきであろう。一日、水曜日(まきのはら塾)、木曜日(掛川古文書講座)の準備に掛り、ほぼ終えた。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 大沢寺 波津大沢寺火宅僧也、現住好吟詩、屡相往来、 寺父祖以来無男子、以義子嗣焉、 現住挙一男児、喜甚、 令余名之、作其説後寄文稿於東都諸友乞正、中有此説、 白藤批曰、惜哉名冒、 儲宮之諱、余大愧、告現住請更名、 曰所賜高作既已裱飾、 不欲改作、彼方外之士、 余亦不強言、現住名祐賢、字曰義誉 (解読) 大沢寺 波津の大沢寺、 火宅 (かたく) の僧なり。 現住 (げんじゅう) 、 吟詩 (ぎんし) を好み、 屡 (しばしば) 、相 (あい) 往 (ゆ) き来 (き) す。 寺 父祖 (ふそ) 以来、男子なく、 義子 (ぎし) を 以って嗣 (つ) ぐ。 現住 一男児を挙 (あ) ぐ。甚だ喜び、 余 にこの子の名を 令 (れい) す 。 その 説 (せつ) を作 (な) した後、 文稿 (ぶんこう) を東都 (江戸) の諸友に寄せて、 正 (ただ) す を乞う。中にこの説あり。白藤 (しらふじ) 批 (ひ) して曰く、「惜 (お) しき哉 (かな) 、 名を冒 (おか) す、   儲宮 (もうけのみや) の 諱 (いみな) 。 」余 (よ ) 大いに愧 (はじ) る。 現住 に告げ、 更名 (こうめい) を請 (こ) う。 曰く、「賜わる所、 高作 (こうさく) に して、既已 (すで) に 裱飾 (ひょうしょく) す。改作を欲せず。 彼方 (あちら) は外 (ほか) の 士 (ひと) 。」 余 (よ) また強いて言わず。 現住 の名、祐賢、 字 (あざな) 義誉と曰 (い) う。 (語注) ※ 火宅(かたく)➔ 煩悩や苦しみに満ちた、この世のたとえ。 ※ 現住(げんじゅう)➔ 現在の住職。 ※ 吟詩(ぎんし)➔ 詩を吟詠すること。 ※ 父祖(ふそ)➔ 代々の先祖。 ※ 義子(ぎし)➔ 義理の子。養子や、息子・娘の...