「蕉園渉筆」(漢文)を読む(6)無杜鵑/珍味、馬鮫魚/松蕈
2026.6.30 サッカーワールドカップも自分の中では終わった。前評判の割には世界の壁は厚かったというべきなのであろう。 「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 ******************************************************************** (原文) 杜鵑、無杜鵑 〇遠州無杜鵑、土人不知歌詩咏、何等声也、雁亦至希矣 (解読) 杜鵑、無杜鵑 〇遠州杜鵑 (ほととぎす) なし。 土人 (どにん) 、咏 (うた) う歌詩、 何等 どのような声やを知らず。雁もまた至る希 (まれ) なり。 (語注) ※ 土人(どにん) ➔ 土地の人。 ※ 何等(なんら) ➔ どのような。 (原文) 珍味、馬鮫魚奉楽翁侯 〇馬鮫魚遠州第一珍味。大三四尺至六七尺、出 相良者最佳、 客歳甲申冬、 為醃、奉桑名老 侯、謝曰、居大都会未喫如此美味、占悋為下 物 (解読) 珍味、馬鮫魚奉楽翁侯 〇馬鮫魚 (さわら) 、遠州第一珍味。大きさ三四尺より六七尺に至る。 相良出のものは最も佳 (よ) い。 客歳 甲申 (文政七年) 冬、 醃 (しおづけ) にして、 桑名老侯 に奉 (ほう) ず。謝して曰 (いわ) く、 大都会に居ると、 未だ、かくの如き美味を 喫せ ず。 下物 (酒の肴) として 悋 (おし) み 占す 。 (語注) ※ 客歳(かくさい) ➔ 去年。昨年。 ※ 醃(えん) ➔ 塩漬けにする。 ※ 桑名老侯(くわなろうこう) ➔ 楽翁。松平定信。引退後、息子が桑名藩の藩主となる。定信は桑名には行かなかったが、このように呼ばれた。 ※ 喫す(きっす) ➔ 食う。飲む。吸う。 ※ 下物(げぶつ) ➔ 酒の肴。 ※ 占す(せんす) ➔ 自分のものにする。 (原文) 松蕈、松蕈 〇遠州松蕈処々産焉、南原及小笠為佳品、余昔 在甲州、喫産塩山者、其大且気味之深、於今 夢寐、二所之種、夐不及焉、 (解読) 松蕈、松蕈 〇遠州、松蕈 (まつたけ) 処々 (しょしょ) に産す。南原及小笠 佳品 (かひん) を為す。余、昔甲州に在す。 塩山産のものを喫 (きっ) し、 その大きさ、且つ 気味 (きみ) の深さ、今も 夢寐 (むしょう) 。 二所、南原・小笠の種、 夐...