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「蕉園渉筆」(漢文)を読む(32)徂徠筆

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植えてもいないタカサゴユリが 猛暑のわが家の庭に花を咲かせる こんな暑いときに御苦労なこった 最も彼らは台湾産だから 暑さには慣れているのか   2026.8.14 一日、明日の二講座の準備で費やす。やや疲労感あり。夜まで掛かり何とか終えた。 「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 徂徠筆 河東邑民蔵物子一軸、筆李済南開簾署有青山色、 対酒人如白雪枝一聯、筆力遒健、蓋真蹟也、 印陰陽識二、以其所不多覩人々容疑、 余熟視之陰為禄隠、陽為茂卿、是五六十時、所筆、 按集中、有物子称禄隠七言律、意此間所刻用、 固題数語還之、以証後人 (解読) 徂徠筆 河東邑 (むら) 民蔵、 物子 (ぶつし) 一軸。李済南筆をとり、 簾署 (れんしょ) を開く。 青山 (せいざん) 色あり。 酒人 (酒客) に、白雪の如き枝一聯 (れん) 。 筆力 遒健 (しゅうけん) 、蓋 (けだ) し 真蹟 (しんせき) なり。 印、陰陽二つ識 (しる) す。 その所を以って、覩 (み) る人々、疑いを容れること多 (おお) からず。 余、これを熟視 (じゅくし) 、陰、 禄隠 (ろくいん) たり。陽、茂卿 (徂徠) たり。 これ五、六十 (歳) 時、筆する所、 集中 (しゅうちゅう) を按ずるに、 物子、禄隠と称する 七言律 (しちごんりつ) あり。 この間に刻し用いたところの意、 固 (もと) より題して数語を還 (かえ) し 、 以って後の人に証 (しる) す。 (語注) ※ 荻生徂徠(おぎゅうそらい)➔ 江戸中期の儒学者。江戸の人。名は双松。字は茂卿。別号、蘐園。また、物部氏の出であることから、中国風に物徂徠と自称。 ※ 物子(ぶつし)➔ 物徂徠(荻生徂徠)のこと。 ※ 簾署(れんしょ)➔ 書房のすだれ。 ※ 青山(せいざん)➔ 樹木が青々と茂っている山。 ※ 遒健(しゅうけん)➔ 力強い筆致を指す。 ※ 真蹟(しんせき)➔ その人が書いたものであると確実に認められる筆跡。真筆。 ※ 禄隠(ろくいん)➔ 朝廷に仕えながら、市隠のようにくらす。 ※ 集中(しゅうちゅう)➔ 作品集や文集の中。 ※ 七言律(しちごんりつ)➔ 七...

掛川古文書講座にて、質問される

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  「為證據之相渡申 候、 扱い證文之叓」 「取扱」と読むには無理がある   2026.8.13 午後、掛川古文書講座に出席する。前回、「江戸時代の庶民の生活はどんな風だったのだろう」との、斜め前の受講者に聞かれて、次回、資料を提供すると約束した。今日、「上越秋山紀行」の解読版を提供して、庶民でも最も厳しい生活をしていたと思われる。上越の秋山郷という山間地の村々を、鈴木牧之が旅した記録だと説明したが、どこまで理解してくれたであろうか。読んでくれれば、山里の暮らしぶりが理解してもらえると思う。 講師の北原氏が、 20年に及ぶ講座で扱ってきた古文書とその解読を選別して、図書館で本のしてくれるというので、その古文書を見直しながら選別作業をすると、前回話された。今日は見直しの第一回として、御林の雑木を無断で切り払い、燃やして灰を取り、その灰を商売した という事件の古文書が再読された。 中で「被仰上 候所」を正しくは「 奉仰上 候 」だと説明があった。「仰せ上げ奉り候」という言い回しは聞いたことがない。原文の文字が「被」ではなくて「奉」に見えるというだけで、そんな言い回しにすべきなのだろうか。疑問に思っていると、案の定、元のままでよいのではないかと意見が出た。自分も賛同した。どうやら講師の考え過ぎであったようだ。 これ以外にも、今日のテーマの中で、表題の「為證據之相渡申 候 、 扱い證文之叓」について、講師は「為證據之相渡申、 取 扱い證文之叓 」と「候」を「取」と読んだものを、文字は「候」で「取」と読むのは無理があるなど、二三、異見を述べていた。 そんなためか、帰りに受講者の一人に声を掛けられて、「 被仰上 候所 」とはどういう意味か、「被仰下候所」ならわかるがと聞かれた。突然の質問に答えように困ったが、これは出張った役人が奉行や上役に報告したことを言う、決まり文句で、村役人から報告する場合の形式にのっとったもので、こういう形式は役人の方から聞いて、代々庄屋などが引き継いでいる書式だと、返事になったかどうか、答えた。まだ古文書を始めて間がない方だったのだろうか。分かってくれたかどうかは不明である。 しかし、自分はこの講座の受講者で、先生ではないのだから、講師に聞いてくれと言いたいところだが、今後も聞かれたら、わかる範囲で答えるのであろう。

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(31)〇〇村 領右衛門/不知字

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傘寿お祝いのケーキ   2026.8.12 午後、まきのはら塾、「古文書解読を楽しむ」講座。今日も楽しく実施できた。 名古屋のまーくん母子は、午後名古屋へ帰った。 「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) □ □村 領右衛門 金谷民家婢一朝出汲、数十蛙死井中、入報主人乃令人浚井、 入而輙死、又入将出救、相尋而没、不知漑酢持炬等術可歎也 (解読) □ (虫損) □村 領右衛門 金谷、民家の婢 (はしため) 一人、朝水汲みに出る。数十蛙 (かえる) 井の中で死す。 入報 (にゅうほう) 、主人、乃 (すなわ) ち人に井戸を浚 (さら) わせる。 (井戸に) 入りて輙 (すなわ) ち死す。 また入り、将 (まさ) に救い出さんとす。 相尋ねて没す。酢を漑 (そそ) ぎ、炬 (たいまつ) を持つ等の術 (てだて) 、 知らざるを歎くべきなり。 (語注) ※ 入報(にゅうほう)➔ 報告を入れること。 (原文) 不知字 三又村民家子出在東都、寄書曰、天行病人多死、幸而 免矣、其父不識一丁、 読死一字、痛哭延僧、誦経、 一村来弔、数月子帰自東都 (解読) 不知字 (字を知らず) 三又村民家、子出で東都 (とうと) に在り。書を寄せて曰く、天行 (てんこう) 病人 多く死す。幸いにして 免 (まぬが) る。その父、一丁 (いっちょう) 識らず、 死一字を読む。痛哭 (つうこく) 、僧を延 (まね) き誦経 (ずきょう) す。 一村、弔 (とむら) いに来る。数月して、子、東都より帰る。 (語注) ※ 東都(とうと)➔ 東方のみやこ。日本では、京都に対して江戸または東京をいう。 ※ 天行(てんこう)➔ 時節によって流行する病気。はやりやまい。 ※ 一丁(いっちょう)➔ 書物の裏表二ページ。(文字を知らず、本も読めないことを云った) ※ 痛哭(つうこく)➔ 激しく泣き叫ぶこと。ひどく嘆き悲しむこと。 ※ 誦経(ずきょう)➔ 声を出して経をとなえること。 ( 続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(30)秋葉火祭

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傘寿のお祝い 子供たち持参の御馳走   2026.8.11 午後、駿河古文書会の基礎講座の講師で、静岡へ行く。少し早く始め、時間があったので、この「かさぶた残日録」及び「蕉園渉筆」のことを宣伝した。同ブログのカウント数が増えれば良いが。 夜、子供たちと孫たちが集まって、傘寿のお祝いをしてくれた。さあ、次は米寿だ。そこまではまたひと山ある。 「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 秋葉火祭 秋葉山、歳十一月十六日、為火舞、数人持炬而舞、 祠側、有一叢、老杉列立、環牆禁人、此日守司者入而祈焉、 奠膳七十五、毎膳撃鼓、天狗奪桴、固数十挟腰而入、 寛政の京師火、秋葉神第一護禁中、有 勅祈年宮、 爾後不奪桴云 (解読) 秋葉火祭 秋葉山、歳 (とし) 十一月十六日、火舞 (ひまい) として、数人、 炬 (きょ) を持ちて舞う。 祠 (ほこら) 側 (そば) に 一叢 (ひとむら) 有り。老杉 (ろうさん) 立ち列 (つら) なり、 環牆 (かんしょう) 人を禁ず。 この日、 守司 (しゅし) の者、入りて祈る。 奠膳 (でんぜん) 七十五、毎膳、鼓 (こ) を撃 (う) つ。 天狗、桴 (ばち) を奪う。 固 (もと) より数十、腰に挟 (はさ) みて入る。寛政 (かんせい) の 京師火 (けいしび) 、 秋葉神、第一、禁中を護る。祈年 (きねん) 宮に 勅 (ちょく) あり。爾後 (じ ご) 、 桴 (ばち) を奪わずと云う。 (語注) ※ 炬(きょ)➔ たいまつ。かがり火。 ※ 一叢(ひとむら)➔ 一か所に集まりまとまっているもの。ひとかたまり。ここでは植生をいう。 ※ 環牆(かんしょう) ➔ 周りを取り巻く垣根。 ※ 守司(しゅし)➔ 役所。守る役職。 ※ 奠膳(てんぜん)➔ 神仏に供えるための食事を指す。 ※ 京師火(けいしび)➔ 京都で発生した火災や災害。 ※ 祈年(きねん)➔ その年の豊作を神に祈ること。 ※ 勅(ちょく)➔ 天皇の言葉。みことのり。 ( 続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(29)咸陽瓦硯

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瓦硯(かわらすずり) (ネットから写真借用)   2026.8.10 明日の駿河古文書会基礎講座、明後日の牧之原塾、木曜日の掛川古文書講座まで、準備を終えた。夜になって、名古屋のかなくん母子が来る。明日、自分の傘寿の祝を夕方からやってくれるという。 「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 咸陽瓦硯 相良板俊卿家、秘蔵咸陽瓦硯、父祖伝来云、色紫黒堅如石、 長六寸余、広居参分長之二、厚称之、併匣は華人所製、 余未一見咸陽瓦、則不知其贋如何俊卿索拙作不已、 賦七古一章畀之 (解読) 咸陽瓦硯 相良、板俊卿家、秘蔵の 咸陽 (かんよう) 瓦硯 (かわらすずり) 、父祖 (ふそ) 伝来と云う。 色は 紫黒 (しこく) 、堅さ石の如し。長さ六寸余り、広居 (はば) は 参分 長の二 、 厚さはこれを称 (たた) える。併 (しか) し、匣 (はこ) は 華人 (かじん) 製 (つく) る所。 余、未だ咸陽瓦 (かんようがわら) を一見 (いっけん) せず。 則 (すなわち) 、その贋 (にせもの) を知らず。 如何 (いか) に、俊卿、 拙作 (せっさく) を索 (もと) めたのみならず、 七古 (しちこ) 一章 (いっしょう) を賦 (ふ) し、これに畀 (あた) えたかをも知らず。 (語注) ※ 咸陽(かんよう)➔ 中国陝西省、渭水北岸にある工業都市。紡績工業が盛ん。秦代の首都。 ※ 瓦硯(かわらすずり)➔ 石の硯が主になるまで多く使用された陶製の硯。 ※ 紫黒(しこく)➔ 紫がかった黒色。 ※ 参分長の二(さんぶんちょうのに)➔ 長さの三分の二。 ※ 華人(かじん)➔ 当時の華人(中国人)つまり清国人のことであろう。 ※ 拙作(せっさく)➔ へたな作品。 ※ 七古(しちこ)➔ 「七言古詩」の略。漢詩体の一つ。一句が七言からなる古体詩。 ※ 一章(いっしょう)➔ 一つの文章。一編の詩。 ( 続く)

「現首相は成田空港のようなもの」

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「現首相は成田空港のようなもの」 (ネットより借用)   2026.8.9 今朝、大学からの友人、M氏から携帯へ、一昨日電話があったことに気づいた。何しろ自慢で言うことではないが、自分のスマホは不携帯電話だから。時間が経ってしまったが、M氏に電話した。 用件は静岡在住の先輩のO氏の病状を、 中々直接には聞きづらいので、 聞きたかったようだ。治療中だが、元気そうで、今でも低山に登ったりしているようだと話したが、直近の状況は自分も分からないから、一度見舞いに行って来ようかと思った。 M氏は大学の憲法学の名誉教授で、現総理の憲法学のブレーンのような役割をしていて、皇室典範問題や、憲法改正問題について、アドバイスをしているらしい。 そういえば、この頃、新聞やテレビで見受ける、と云えば、色々な所から取材を受けるけれども、それぞれに前もって話すことを整理しているという。たしかに、思い付きで話してよいような問題ではないから大変だと思った。 忙しかったけど、一段落かと聴けば、これから憲法改正問題に取り掛からねばならないという。まだまだ、老いぼれてはおれないのは、自分と同じだ。 多忙な現首相を少しでも和ませたいと思ってか、 現首相とのメールのやり取りの中で、時々ダジャレを記したりすると、そんなエピソードを一つ話してくれた。 現首相は 成田空港 のようなものですね。 その心は「世界から 機体(期待) が集まっている」 こんな話でも和むのだろうか。 我々の学生時代には、ダジャレが全盛だった。会話の中でたくさん飛び交っていたように思うが、自分はすっかり忘れている。M氏は今もダジャレを飛ばしているからすごい。あれから60年である。 電話を終えてから、そういえば自分の近況を何も話さなかったと思う。取材をたくさん受けて、何やら活舌が一層増して、当方の近況を話す隙が無かったような気がする。当方は80歳になったが、M氏はもう半年ほど先のはずで、まずはお互いに元気で過ごしているようだから、よしとせねばならないか。

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(28)石臼

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「静岡の考古学と歴史」講座の会場「かなや会館」 その傍の「かなや公園」の池の鯉 元気よく水面から跳ね上がったので、気づいて写真に撮った この猛暑が池の中では最高!の環境 なのかなのか   2026.8.8 午後、 「静岡の考古学と歴史」講座へ出席した。今日は冷房が効いて、側で稼働する扇風機で、寒いほどであった。 講座の後、女房としずてつストアの島田店に出かけた。島田市からいただいた「暮らし応援チケット」で、日頃買わないような食材を買って、チケットで支払って帰った。 「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 石臼 下吉田、有銀蔵者、挙家在田畝、隣人聞石声、 以為磨臼歯鑿来、適其家磨歯亦刓、往而求工人、 閉戸無人、帰則石声如初、待銀蔵帰而告之、因出石臼視之、 削去旧歯、仏経鑿新歯、字用胡書、爾来三四十年日碾不刓、 人称為弘法磑矣。世有奇事必帰弘法師故也。 (解読) 石臼 (いしうす) 下吉田、銀蔵という者あり。 挙家 (きょか) 、 田畝 (でんぽ) に在り。 隣人、 石声 (いしのおと) を聞く。 以為 (おもえらく) 、 磨臼 (すりうす) の歯を 鑿 (うが) ち来たる。適 (たまたま) その家、歯 (臼の歯) を磨 (みが) き、 また刓 (けず) る。 往 (ゆき) て 工人 (こうじん) を求む。戸を閉ざし人は無し。帰り、 則 (すなわち) 、 石声初めの如し。銀蔵を待ち、帰りてこれを告ぐ。 因 (よ) って、石臼を出しこれを視る。旧歯 (臼の歯) を削り去り、 仏経 (ぶつきょう) にて 新歯 (臼の歯) を鑿 (うが) つ。字は 胡書 (こしょ) を用う。爾来 (以来) 三四十年、 日に碾 (ひ) き、刓 (けず) らず。 人、弘法 磑 (うす) を為すと称す。 世、 奇 (き) 有る事、必ず弘法師 (弘法大師) に帰す故 (ゆえ) なり。 (語注) ※ 挙家(きょか)➔ 一家の者全部。 ※ 田畝(でんぽ)➔ 田畑。 ※ 以為(おもえらく)➔ 思っているのには。考えていること。 ※ 磨臼(すりうす)➔ 籾をすって皮を取り除くのに用いる臼。 ※ 工人(こうじん)➔ 工作を職業とする人。職人。 ※...