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「蕉園渉筆」(漢文)を読む(81)(毎人一戸)/(蝸牛)

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庭のキンモクセイが咲いている 昔は木が小さかったが、大きくなり 最近は花が遠くなった 2026.10.09 お昼、チャーハンを食べていて、ふとが気管に入って息が止まった。誤嚥である。初めてやって、何とも苦しいものだと感じた。何とか咳出して事なきを得たが、背後のテレビを振り返ったときに、チャーハンが喉を通って誤嚥を起したようだ。もうそんな歳になったと思い知らされた。真っすぐ前を向いて食事をしよう。よく噛んで食べよう。それが教訓であった。皆さん、誤嚥にご注意を!! 「冨士能人穴物語」、今日で完成した。あと手直しが少しある。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) (毎人一戸) 県令已下群吏、自古択波津相良近府豪商、毎人一戸、日来給於家、 滓用甚便、余家為鍋屋市兵衛、其兄唯作共稍好事、相良好人物也 (解読) (毎人一戸) 県令 (けんれい) 已下 (以下) 群吏 (ぐんり) 、古 (いにしえ) より波津、相良、 近府 (きんふ) の 豪商を択 (えら) び、 毎人一戸 (まいじんいっこ) 、 日来 (にちらい) 家に給 (たま) う。 滓用 (かすよう) に甚だ 便 (便利) なり。余家 (自分の家) 、鍋屋市兵衛として、 その兄、唯作とも稍 (やや) 好事 (こうず) 、相良の好人物なり。 (語注) ※ 県令(けんれい)➔ 地方の長官。(郡より小さい地方) ※ 群吏(ぐんり)➔ 多くの役人集団。 ※ 近府(きんふ)➔ 役所に近い所。 ※ 毎人一戸(まいじんいっこ)➔ 一人一戸。 ※ 日来(にちらい)➔ ふだん。平生。日頃。 ※ 給う(たまう)➔ 金品を下し与える。 ※ 滓用(かすよう)➔ 雑用。 ※ 便(べん)➔ 障りなく事が運ぶ。都合がよい。 ※ 好事(こうず)➔ 変わった物事を好むこと。物好き。 (原文) (蝸牛) 日坂駅鎌田邑、蝸牛二、隔渠在岸、其大者口吹一気、来為傴粘小者、 者忽然成大、大者消尽 (解読) (蝸牛) 日坂駅、鎌田邑 (むら) 、蝸牛 (かたつむり) 二、 隔渠 (かくきょ) の岸に在り。 その大きなもの、 口吹一気 (くちぶきいっき) 。 傴粘 (くねん) して小もの来たり、 小も...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(80)(邑正分掌)

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  朝から秋晴れ、朝早くは雲一つなかった こんな晴れた日はいつ以来だろう 2026.10.08 「冨士能人穴物語」の解読本作成、あと五ページを残すのみとなった。長い地獄めぐりの後、閻魔大王殿を見学、さらに天国の見学、これは短くて、いよいよ「冨士能人穴物語」の冊子を、案内してくれた浅間大菩薩に頂き、人穴から出ることになる。今日はそこまでである。講座受講者には10月の講座で配布できると思う。 昨日の渋柿、最も熟れたものを食べてみた。十分甘いが、食べた後、わずかに渋みが舌べらに残った。やはり干し柿にしよう。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) (邑正分掌) 近時先官擇邑正稍有志操行修其才幹事者十人、立邑正之上 分掌於部内諸色、其選甚当、他無勝者、可謂具眼矣、余昔令甲陽日、 挙可者十人、教諭於部内、意暗符焉 (解読) (邑正分掌) 近時先官 (さきの代官) 、稍 (やや) 志 (こころざ) し、 操行 (そうこう) 有る邑正 (村長) を 擇 (えら) び、その 才幹 (さいかん) 、事を修むる者十人、 邑正 (村長) の上に立て、 部内 諸色 (しょしき) を 分掌 (ぶんしょう) す。その選甚 (はなは) だ当り、他に勝るもの 無し。 具眼 (ぐがん) というべし。余 (よ) 、昔、甲陽に令 (れい) す日、 可者 (かしゃ) 十人を挙げ、部内に於いて 教諭 (きょうゆ) 、 意 (おも) うに 暗符 (あんふ) なり。 (語注) ※ 操行(そうこう)➔ 道徳的な面からみた、ふだんの行い。素行。品行。 ※ 才幹(さいかん)➔ 物事を成し遂げる知恵や能力。手腕。 ※ 諸色(しょしき)➔ いろいろの品物。諸物。また、一切。万事。 ※ 分掌(ぶんしょう)➔ 仕事・事務を手分けして受け持つこと。分担。 ※ 具眼(ぐがん)➔ 物事の是非・善悪を判断し、物の本質を見抜く見識をもっていること。 ※ 可者(かしゃ)➔ 要件を満たす人。 ※ 教諭(きょうゆ)➔ 教え諭すこと。 ※ 暗符(あんふ)➔ 道理がわからない巡り合わせ。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(79)凹字版

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  裏の畑に生えた渋柿、沢山実を付けている 女房が落ちたものを拾ってきた これでも熟せば甘くなる そろそろ干し柿を作らねばと思う 2026.10.07 朝、証券会社の若い衆が来た。もう20年も前に買って、放置していた株式が AIブームに乗って、値上がりし、とうとう10倍を越えた。放っておけばどこまで上がるのだろう。若い衆も売ることを勧めなかった。 夜、故郷の次兄から電話、手術以来、続けていた抗がん剤の投与が、今日、医者からしばらく止めてみましょうと云われたという。本人は嬉しかったのだろう、その報告の電話だった。後で考えて、自分の反応が今少しだった。もっと喜ぶべきだったと反省した。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 凹字版 西東風相搏、相良最為多、必醸人疾病、或発腰痛、或発腹痛、 須臾為胸痛肩背、風為一方則不薬事治、発則薬之自若、其間難勝、 余制一器、按摩心下腹肚、或抵壁柱、圧背痛、又仰臥横支骨、 不労人手、従意所欲、其制小版長八寸余、幅二寸余、上成凹字様、 両相峙之耑稍円、陥之深二寸余、幅一寸五分、辟飪脉背骨也、 名凹字版 (解読) 凹字版 西・東風相搏 (う) つ。相良最も多く為る。必ず人、疾病 (しっぺい) を醸 (かも) す。 或いは腰痛を発し、 或いは腹痛を発す。須臾 (しゅゆ) にして、胸痛、肩、背を為す。 風一方に為り、則 (すなわち) 薬事 (やくじ) あらず治 (なお) る。発し則 (すなわち) 自若 (じじゃく) としてこれを薬 (いや) す。 その間、勝 (た) え難く、余 (よ) 一器 (いっき) を 制 (つく) り、心 (心の臓) 、下腹、肚 (きも) を按摩 (あんま) する。 或いは、壁・柱に 抵 (あ) てゝ、背痛 (はいつう) を圧し、又仰臥 (ぎょうが) して、 支骨 (しこつ) を横たえる。 人の手を労せず、欲する所、意に従う。その小版 (板) 、長さ八寸余、幅二寸余を 制 (つく) る。 上が凹字 (おうじ) 様になり。両相 (あい) 峙 (そばだつ) の耑 (はし) 、稍 (やや) これ円く、陥 (へこみ) の深さ二寸余、幅一寸五分、 脉 (脈) ・背骨を 辟飪 ...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(78)定免

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「 冨士の人穴物語」原本のコピー 2026.10.06 「冨士の人穴物語」解読、興が乗って半分を越した。読んで解ったことは、これは地獄めぐりの本であった。しかし、それはそれで面白い。子供たちがお寺の地獄巡り絵図に大変興味を惹かれたという話を聞くが、これを青年たちが読んだら何と感じるだろうと、配布が楽しみになってきた。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 定免 点視年豊凶、命税額謂之検見取、平均十数年、豊凶或五年七年限年、 定、成税額、謂之定免勧農事肥民防吏姦、禁賄賂、莫善処定免、 遠州定免不喜定免、余初年聞于、 太公、論民、闔部尽為定免、 既有定額、則簿書可通数年、吏民共閑、実良法哉、 定免之制蝗或水旱之変三分以上、破額五分以上、又免、 三役水年損地一戸有十分一之損者雖不破額之年、破其一家之額実良法也、 初民不服、逐年知其為良法也 (解読) 定免 年の豊凶を 点視 (てんし) し、税額を命じる、これを検見 (けみ) 取りと謂 (い) う。 平均十数年、豊凶、或 (あるい) は五年七年、年を限り、定め、税額と成す、 これを定免 (じょうめん) と謂う。農事を勧 (すす) め、民を肥 (こや) し、 吏姦 (りかん) を 防ぎ、賄賂 (わいろ) を禁ず。 定免に善き処莫 (な) しと、遠州、定免を喜ばず。 余、初年聞くに、 太公、民を論じ、 闔部 (すべて) 、定免に尽きる。既に定額有り。 則 (すなわち) 簿書 (ぼしょ) 数年に通 (およ) ぶべし。 吏民 (りみん) 共に閑 (ひま) 、 実に良法かな。 定免の制、蝗 (いなご) 或いは水旱 (みずひでり) の変、三分以上、 破額 (はがく) 五分以上、また免ず。 三役 (さんやく) 、水年損地、一戸十分の一の損 有る者、破額の年ならずと雖 (いえど) も、 その一家の額を破る。実に良い法なり。 初め民 (たみ) 不服なり。 逐年 (ちくねん) 、 それ良法たるを知るなり。 (語注) ※ 点視(てんし)➔ 一つ一つとりあげて見ること。詳しく調べること。 ※ 吏姦(りかん)➔ 役人による不正。 ※ 簿書(ぼしょ)➔ 帳面。帳簿。 ※ 吏民(りみん)➔ 役人と...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(77)般若寺

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園村般若寺の大般若経   2026.10.05 先日、大阪の同級生、K氏からお見舞いの御礼なのだろう、地酒が送られてきた。お酒を飲まない自分には、何と御礼を云うべきか。もちろん普通に御礼を云えば済む事なのだが、古くからの友人故に、酒は飲まないことを正直にいうべきであろうと決心して、昨日電話をした。 お酒を飲まないと話すと、K氏も飲まないのだという。考えてみれば、お酒を飲む年齢の前に、関西と静岡に別れて60年経つ。その間、会う事すらめったになく、共に酒を飲んだような場面は記憶にない。だから、この年になって、お互いに相手がお酒を飲まないことを知らずに過ごしてきたことを知る。 頂いた地酒は縁者の酒飲みに提供するつもりだと、正直に話した。ただ正直が良かったのかどうか、自信はない。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 般若寺 園村般若寺有大般若経、住僧皆不知、至現住一徒弟掃除偶獲地板下、 匣半朽、経亦率腐、六百巻中僅存二百余巻、首尾不次、其書有工拙、 巻尾年暦建久或元久、筆者不一、蓋以漸全之也共六百歳以外書七十一之巻尤絶妙、 現住頗雅僧、惜耳聾不得話也 (解読) 般若寺 園村般若寺に 大般若経 (だいはんにゃきょう) 有り。住僧皆 (みな) 知らず。現住に至り、 一徒弟掃除で、偶 (たまたま) 地板 ( じいた) 下に獲 (え) る。匣 (はこ) 半ば朽ち、 経 (きょう) また率 (おおむね) 腐る。 六百巻中、僅 (わず) か二百余巻存 (ぞん) す。 首尾不次 ( しゅび ふじ) 。その書 工拙 (こうせつ) あり。 巻尾の年暦、建久 (1190~99) 或いは元久 (1204~06) 、筆者一 (ひとり) ならず。 蓋 (けだ) し、 漸 (ぜん) を以って これを 全 (まっと) うす。也共 (またとも) に六百歳( 年) 以って、 外 (ほか) 書七十一の 巻、 尤 (もっとも) 絶妙 (ぜつみょう) 。現住頗 (すこぶ) る雅僧。 惜 (あたら) 、耳聾 (みみがきこえず) 、話し得ざるなり。 (語注) ※ 大般若経(だいはんにゃきょう)➔ 大乗経典。六百巻。唐の玄奘訳。「仁王経」「般若心経」以外の般...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(76)(東首)

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富士宮の 人穴浅間神社 人穴洞穴の入口 2026.10.04 昨日から作業を始めた、「冨士人穴物語」解読冊子、 浅間大菩薩の霊験譚「人穴草子」が元のようだが、幾つも類似本が出ていて、 「冨士人穴物語」もその一本のようだ。かつては参拝の記念に、土産として販売されていたとも聞いた。 舞台は、富士宮の 人穴浅間神社で、 ここには、犬涼み山溶岩流内にできた長さ約83メートルの溶岩洞穴「人穴」と富士講講員が建立した200基を超える碑塔等があるという。もっとも、自分は参拝したことはない。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文)  (東首) (()内の表題は自分が便宜的に命名。以下同じ) 相良鍋屋市兵衛夢一異人来揺醒曰、汝枕西方須起而東首、 夢中怯其眼目、擁被不応、異人手挙之、驚而寤呼燭照見則東首、 而非初所枕之方也 (解読) (東首) 相良、鍋屋市兵衛の夢に。一異人来り、揺 (ゆ) り醒 (さま) し曰 (いわ) く、 汝 (なんじ) 、枕西方 (まくらさいほう) 、 須 (すべから) く起きて東首 (とうしゅ) すべし。 夢の中、その眼目 (がんもく) に怯 (おび) え、擁被 (ようひ) して応じず。 異人の手、これを挙 (あ) ぐ。驚いて (目が) 寤 (さ) め、燭照 (しょくしょう) を呼び、 見るに則ち東首 (とうしゅ) 。 而 (しか) して、初所の枕の方に非ざるなり。 (語注) ※ 枕西方(まくらさいほう)➔ 西枕は「運気が下がる」「老け込む」などと云われる。 ※ 東首(とうしゅ)➔ 東に頭をむけて寝ること。東枕(ひがしまくら)。 ※ 眼目(がんもく)➔ 目。まなこ。 ※ 擁被(ようひ)➔ 夜具をまとう。 ※ 燭照(しょくしょう)➔ あかり。ともしび。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(75)蛇入穴

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昨日、静岡中央図書館内より 城北公園を眺める 2026.10.03 今日は土曜日なれども、何事もなく、雨は降らなかったが、家を一歩も出ずに終わった。 今日から、「冨士人穴物語」を解読冊子に加えようと、作業を始める。かつて読んで、その解読文を古文書会の仲間に見せたところ、間違いをたくさん指摘された。その御仁はその直後、まだ若くして亡くなられたと聞いた。何とも辛くて、その後「冨士人穴物語」は十年以上、段ボール箱の中に入れたままであった。それを思い出して、今日取り出して来た。亡くなった人は、名前はおろか、面影すら忘れてしまったが、「冨士人穴物語」のあらすじは覚えている。今日は3ページほど作業を終えた。まだ10分の1くらいかと思う。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 蛇入穴 朝比奈村民戸之女、樵於山野、忽然思睡、枕薪而臥、一蛇入阴中、 驚醒視之、入数寸、自以手抜之、後其隣邑女亦入陰中、拔之不脱、 医捕蝦蟇跨其上、不出終死云 (解読) 蛇入穴 朝比奈村、 民戸 (みんこ) の女、山野に 樵 (きこ) る 。 忽然 (こつぜん) 思睡 (しすい) 、 薪を枕にして臥す。 一蛇、阴 (陰) 中に入り、驚き 醒 (めざ) めこれを視る。 数寸入り、自ら手でこれを抜く。 後、その隣り邑 (むら) の女、また陰中に入り、これを拔き脱せず。 医 (医者) 、蝦蟇 (がま) を捕らえ、その上に跨 (また) がす。出でず、終に死すと云う。 (語注) ※ 民戸(みんこ)➔ 民家。 ※ 樵(きこ)る ➔ たきぎを切り出す。 ※ 忽然(こつぜん)➔ にわかに。突然。 ※ 思睡(しすい)➔ 強い眠気を覚えること。眠りたいと思うこと。 (続く)