「蕉園渉筆」(漢文)を読む(11)田自擡/門自起/唐蘆
静岡城北公園のケヤキ群 (7月3日撮影) 2026.7.6 今週の後半は講座が4日連続になるので、その準備を始めた。今月は受講の皆さんに、上越秋山紀行 (解読版) の上巻を進呈しようと思う。江戸時代、鈴木牧之の描いた、上越の山村の紀行をまとめたもので、桑原黙斎の大井川源記と比べて読めば、きっと面白い発見があると思う。その冊子化のためのコピーも作った。 「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 ******************************************************************** (原文) 田自擡 甲申七月、堀内邑、田一区、俄然擡者五尺許。遠近往観焉、 十数日而如故、 村老云、此田昔年一如此也 (解読) 田自擡 (田、自らもたげる) 甲申 (文政七年) 七月、堀内邑 (むら) 、田一区 (区画) 、俄然 (がぜん) 擡 (もた) げるもの 五尺許 (ばかり) 。遠近 (おちこち) 往 (ゆ) き観 (み) る。 十数日して如 (ごと) き故、 村老 (そんろう) 云う、この田、一 (ひと) 昔前もかくの如くなり。 (語注) ※ 俄然(がぜん)➔ だしぬけに。急に。突然。 ※ 遠近(おちこち)➔ あちらこちら。 (原文) 門自起 園村正福寺、文化壬子八月、大風雨、倒楼門、一日夙興、 楼門如旧、 今所存即是也 (解読) 門自起 (門自ら起きる) 園村正福寺、文化壬子八月、大風雨、楼門倒る。一日夙 (つと) に興 (お) こし、 楼門旧 (もと) の如し。今存する所、即 (すなわち) これなり。 (語注) ※ 文化壬子 ➔ 文化に、壬子の年はない。 ※ 夙に(つとに) ➔ 朝早く。 ※ 表題に「自」とあるから、誤解を呼ぶ。一日で人々が元に戻したことをいうのであろう。 (原文) 唐蘆 余求唐山蘆、久而不得、遠州海上時、漂而来云、 一日厩崎民網之、 相良人請以恵余、径五寸厚四分強、 斫為筆筒、多年所求、 一朝而得之 (解読) 唐蘆 余、唐山蘆を求め、久しく得ず。 遠州海上の時 (おり) 、漂 (ただよ) いて 来たると云う。 一日 (先日) 厩崎 (御前崎) 民 これを網 (あみ) どる。 相良の人、請 (う) けて以って余に恵 (めぐ) む。 径五寸、厚さ四分強、斫 (き) りて筆筒 (ふでづつ) と為す。多年求める所、 一朝に...