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「蕉園渉筆」(漢文)を読む(78)定免

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「 冨士の人穴物語」原本のコピー 2026.10.06 「冨士の人穴物語」解読、興が乗って半分を越した。読んで解ったことは、これは地獄めぐりの本であった。しかし、それはそれで面白い。子供たちがお寺の地獄巡り絵図に大変興味を惹かれたという話を聞くが、これを青年たちが読んだら何と感じるだろうと、配布が楽しみになってきた。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 定免 点視年豊凶、命税額謂之検見取、平均十数年、豊凶或五年七年限年、 定、成税額、謂之定免勧農事肥民防吏姦、禁賄賂、莫善処定免、 遠州定免不喜定免、余初年聞于、 太公、論民、闔部尽為定免、 既有定額、則簿書可通数年、吏民共閑、実良法哉、 定免之制蝗或水旱之変三分以上、破額五分以上、又免、 三役水年損地一戸有十分一之損者雖不破額之年、破其一家之額実良法也、 初民不服、逐年知其為良法也 (解読) 定免 年の豊凶を 点視 (てんし) し、税額を命じる、これを検見 (けみ) 取りと謂 (い) う。 平均十数年、豊凶、或 (あるい) は五年七年、年を限り、定め、税額と成す、 これを定免 (じょうめん) と謂う。農事を勧 (すす) め、民を肥 (こや) し、 吏姦 (りかん) を 防ぎ、賄賂 (わいろ) を禁ず。 定免に善き処莫 (な) しと、遠州、定免を喜ばず。 余、初年聞くに、 太公、民を論じ、 闔部 (すべて) 、定免に尽きる。既に定額有り。 則 (すなわち) 簿書 (ぼしょ) 数年に通 (およ) ぶべし。 吏民 (りみん) 共に閑 (ひま) 、 実に良法かな。 定免の制、蝗 (いなご) 或いは水旱 (みずひでり) の変、三分以上、 破額 (はがく) 五分以上、また免ず。 三役 (さんやく) 、水年損地、一戸十分の一の損 有る者、破額の年ならずと雖 (いえど) も、 その一家の額を破る。実に良い法なり。 初め民 (たみ) 不服なり。 逐年 (ちくねん) 、 それ良法たるを知るなり。 (語注) ※ 点視(てんし)➔ 一つ一つとりあげて見ること。詳しく調べること。 ※ 吏姦(りかん)➔ 役人による不正。 ※ 簿書(ぼしょ)➔ 帳面。帳簿。 ※ 吏民(りみん)➔ 役人と...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(77)般若寺

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園村般若寺の大般若経   2026.10.05 先日、大阪の同級生、K氏からお見舞いの御礼なのだろう、地酒が送られてきた。お酒を飲まない自分には、何と御礼を云うべきか。もちろん普通に御礼を云えば済む事なのだが、古くからの友人故に、酒は飲まないことを正直にいうべきであろうと決心して、昨日電話をした。 お酒を飲まないと話すと、K氏も飲まないのだという。考えてみれば、お酒を飲む年齢の前に、関西と静岡に別れて60年経つ。その間、会う事すらめったになく、共に酒を飲んだような場面は記憶にない。だから、この年になって、お互いに相手がお酒を飲まないことを知らずに過ごしてきたことを知る。 頂いた地酒は縁者の酒飲みに提供するつもりだと、正直に話した。ただ正直が良かったのかどうか、自信はない。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 般若寺 園村般若寺有大般若経、住僧皆不知、至現住一徒弟掃除偶獲地板下、 匣半朽、経亦率腐、六百巻中僅存二百余巻、首尾不次、其書有工拙、 巻尾年暦建久或元久、筆者不一、蓋以漸全之也共六百歳以外書七十一之巻尤絶妙、 現住頗雅僧、惜耳聾不得話也 (解読) 般若寺 園村般若寺に 大般若経 (だいはんにゃきょう) 有り。住僧皆 (みな) 知らず。現住に至り、 一徒弟掃除で、偶 (たまたま) 地板 ( じいた) 下に獲 (え) る。匣 (はこ) 半ば朽ち、 経 (きょう) また率 (おおむね) 腐る。 六百巻中、僅 (わず) か二百余巻存 (ぞん) す。 首尾不次 ( しゅび ふじ) 。その書 工拙 (こうせつ) あり。 巻尾の年暦、建久 (1190~99) 或いは元久 (1204~06) 、筆者一 (ひとり) ならず。 蓋 (けだ) し、 漸 (ぜん) を以って これを 全 (まっと) うす。也共 (またとも) に六百歳( 年) 以って、 外 (ほか) 書七十一の 巻、 尤 (もっとも) 絶妙 (ぜつみょう) 。現住頗 (すこぶ) る雅僧。 惜 (あたら) 、耳聾 (みみがきこえず) 、話し得ざるなり。 (語注) ※ 大般若経(だいはんにゃきょう)➔ 大乗経典。六百巻。唐の玄奘訳。「仁王経」「般若心経」以外の般...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(76)(東首)

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富士宮の 人穴浅間神社 人穴洞穴の入口 2026.10.04 昨日から作業を始めた、「冨士人穴物語」解読冊子、 浅間大菩薩の霊験譚「人穴草子」が元のようだが、幾つも類似本が出ていて、 「冨士人穴物語」もその一本のようだ。かつては参拝の記念に、土産として販売されていたとも聞いた。 舞台は、富士宮の 人穴浅間神社で、 ここには、犬涼み山溶岩流内にできた長さ約83メートルの溶岩洞穴「人穴」と富士講講員が建立した200基を超える碑塔等があるという。もっとも、自分は参拝したことはない。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文)  (東首) (()内の表題は自分が便宜的に命名。以下同じ) 相良鍋屋市兵衛夢一異人来揺醒曰、汝枕西方須起而東首、 夢中怯其眼目、擁被不応、異人手挙之、驚而寤呼燭照見則東首、 而非初所枕之方也 (解読) (東首) 相良、鍋屋市兵衛の夢に。一異人来り、揺 (ゆ) り醒 (さま) し曰 (いわ) く、 汝 (なんじ) 、枕西方 (まくらさいほう) 、 須 (すべから) く起きて東首 (とうしゅ) すべし。 夢の中、その眼目 (がんもく) に怯 (おび) え、擁被 (ようひ) して応じず。 異人の手、これを挙 (あ) ぐ。驚いて (目が) 寤 (さ) め、燭照 (しょくしょう) を呼び、 見るに則ち東首 (とうしゅ) 。 而 (しか) して、初所の枕の方に非ざるなり。 (語注) ※ 枕西方(まくらさいほう)➔ 西枕は「運気が下がる」「老け込む」などと云われる。 ※ 東首(とうしゅ)➔ 東に頭をむけて寝ること。東枕(ひがしまくら)。 ※ 眼目(がんもく)➔ 目。まなこ。 ※ 擁被(ようひ)➔ 夜具をまとう。 ※ 燭照(しょくしょう)➔ あかり。ともしび。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(75)蛇入穴

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昨日、静岡中央図書館内より 城北公園を眺める 2026.10.03 今日は土曜日なれども、何事もなく、雨は降らなかったが、家を一歩も出ずに終わった。 今日から、「冨士人穴物語」を解読冊子に加えようと、作業を始める。かつて読んで、その解読文を古文書会の仲間に見せたところ、間違いをたくさん指摘された。その御仁はその直後、まだ若くして亡くなられたと聞いた。何とも辛くて、その後「冨士人穴物語」は十年以上、段ボール箱の中に入れたままであった。それを思い出して、今日取り出して来た。亡くなった人は、名前はおろか、面影すら忘れてしまったが、「冨士人穴物語」のあらすじは覚えている。今日は3ページほど作業を終えた。まだ10分の1くらいかと思う。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 蛇入穴 朝比奈村民戸之女、樵於山野、忽然思睡、枕薪而臥、一蛇入阴中、 驚醒視之、入数寸、自以手抜之、後其隣邑女亦入陰中、拔之不脱、 医捕蝦蟇跨其上、不出終死云 (解読) 蛇入穴 朝比奈村、 民戸 (みんこ) の女、山野に 樵 (きこ) る 。 忽然 (こつぜん) 思睡 (しすい) 、 薪を枕にして臥す。 一蛇、阴 (陰) 中に入り、驚き 醒 (めざ) めこれを視る。 数寸入り、自ら手でこれを抜く。 後、その隣り邑 (むら) の女、また陰中に入り、これを拔き脱せず。 医 (医者) 、蝦蟇 (がま) を捕らえ、その上に跨 (また) がす。出でず、終に死すと云う。 (語注) ※ 民戸(みんこ)➔ 民家。 ※ 樵(きこ)る ➔ たきぎを切り出す。 ※ 忽然(こつぜん)➔ にわかに。突然。 ※ 思睡(しすい)➔ 強い眠気を覚えること。眠りたいと思うこと。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(74)(火事不能償)

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「浦止春」か「浦山春」か 2026.10.02 午後、駿河古文書会に出席した。課題を早く終えて、担当講師のO氏の御先祖が写された「小堀遠州、書き捨ての文」を解読された。O氏の御先祖は書家としても有名で、読んでも楽しい。中に一ヶ所、写真の部分があった。これをどう読むか。 O氏はこれを「浦止春」と読まれた。当て字と変体仮名「春(す)」で、「羨(うらやま)ず」の意味で読まれた。意味と読み方には異論はないが、文字は「浦山春」ではないかと思った。「止」と「山」は筆文字ではよく似ていて、どちらとも読めそうだが、「浦山敷(うらやまし)」の当て字の用例があるから、「浦山」に軍配を上げたい。 発言をしてみたが、同意は得られなかった。果たしてO氏の御先祖はどの文字のつもりで書かれたのであろう。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) (火事不能償) (()内の表題は自分が便宜的に命名。以下同じ) 下平川籏下士、本多氏采地也、里正頗富、邑主仮金数而不償、 去歳冬税吏又命之、辞以無見存銀、其夜誤失火、焼千金不能報状也 (解読) (火事不能償) 下平川、 籏下士 (はたかし) 本多氏采地 (領地) なり。里正 (村長) 頗 (すこぶ) る富み、 邑主 (名主) 仮金 (借り金) 数えて償 (つぐな) わず。 去歳 (去年) 冬、 税吏 (ぜいり) またこれを命ず。銀存 (あ) るを見ずに辞す。 その夜、誤り失火。 千金を焼き、報いる能 (あた) わざる 状 (じょう) なり。 (語注) ※ 籏下士(はたかし)➔ 下級の武士。 ※ 税吏(ぜいり)➔ 税務を扱う官吏。 ※ 状(じょう)➔ ありさま。ようす。 (続く)

【活動の記録】と【読了図書】9月1日~9月30日

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  脇の水路の土手で、誰が植えたものでもない 柿の木が実を五つばかり付けた 次郎柿のように見えるが、多分渋柿 誰も手を付ける人も居ないだろうから 取って干し柿にしようかと思う 10月、雨も止んでいよいよ干し柿の季節の到来である 2026.10.1 今日から10月。朝から珍しく快晴。 天候も少しは秋らしくなるのであろうか。 めっきり読書量が減った。時代小説を卒業したからだが、おかげで名古屋のアジア大会の色々な種目を見ている。日本人の活躍を見るのはやはり楽しい。 9月の 【活動の記録】と【読了図書】を記しておこう。   *******************************************************    【活動の記録】 9月1日    夜、 金谷宿大学教授会。 9月2日    夕方 、河村泰子先生通夜 。 9月4日    午後 、 駿河古文書会出席。 9月9日    午後 、まきのはら塾「古文書解読を楽しむ」 講座(講師)。 9月10日   午後、 掛川古文書講座受講。 9月12日   午後、「静岡の考古学と歴史」講座受講。 9月13日   朝 、 竹下大井神社清掃。後、竹下6班会合。 9月18日   午後 、 駿河古文書会出席。 9月19日    午前、 金谷宿大学「古文書に親しむ(初心者)」講座教授。         午後、金谷宿大学「古文書に親しむ(経験者)」講座教授。 9月26日   午後、 金谷郷土史研、「竹下村誌稿」講演会、第4回(講師)。 9月29日   午前、 斎藤医院、定期健診。 8月25日   午後 、 駿河古文書会基礎コース(講師)。 【読了図書】 読書:「 鋼鉄のレガシー 」  堂場瞬一 著 読書:「琉球布紀行」 澤地久江 著 【解読本】 蕉園渉筆(漢文)上      小島 蕉園著  (解読本11冊目) 現在作業中のもの   蕉園渉筆(漢文)の続き (当ブログに連載中)         

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(73)信書

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  脇の水路の土手で 早くもススキが穂を出していた 雨続きだけれども 季節は確実に進んでいるようだ 2026.9.30 昨日、定期受診で、夫婦でS医院へ行く。インフルエンザの流行が早まっていると 聞いているので、いつから予防注射が受けられるかと聴けば、まだ始まりで本格的流行には時間があると云い、10月半ば頃からと言う。去年も接種したので、次回11月の時に、接種を受けられるように予約してきた。インフルエンザには、今まで罹ったという、記憶も自覚も無いのだが、念の為である。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 信書 都下諸友所贈答書、相約以同紙長短均者、積為策子、 閑時灯火覧之、恰如相晤於一堂、亦旅況之一韵(韻)事也、 老杜句、家書抵万金、故人之書亦然、固題以抵万金 (解読) 信書 都下 (江戸表) 諸友、贈る 答書 (とうしょ) 、同紙長短、均 (なら) したものを以って 相 約 (やく) し 、 策子 (冊子) として積む。 閑時 (かんじ) 灯火にこれを覧 (み) る。 恰 (あたか) も一堂において相晤 (うちとけ) るが如し。 また 旅況 (りょきょう) の 一 韵 (韻) 事なり。 老杜 (ろうと) 句、 家書 (かしょ) 万金 (まんきん) に抵 (あた) る。 故人 (こじん) の書、 また然り。 固 (もと) より 万金 に抵 (あた) るを以って題 (しる) す。 (語注) ※ 答書(とうしょ)➔ 問い合わせに対する返答の書状。 ※ 策子(さっし)➔ 冊子。綴じ本(巻本に対して)。 ※ 旅況(りょきょう)➔ 旅のありさま。旅行中の状況。 ※ 韵(いん)➔ 「韻」に異体字。おもむき。ようす。風流。 ※ 老杜(ろうと)➔ 中国盛唐の詩人、杜甫の異称。晩唐の詩人、杜牧を小杜というのに対していう。 ※ 家書(かしょ)➔ 自分の家の蔵書。 ※ 万金(まんきん)➔ 多額の金銭。千金。 ※ 故人(こじん)➔ 古くからの友人。昔の友達。旧友。 (続く)