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「蕉園渉筆」(漢文)を読む(67)庁事

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庭のサルスベリ 白花が勢いを取り戻して 再び紅白競演 2026.9.22 台風25号は関東で、大分被害が出ているようだ。水害と土砂崩れ、繰り返しの災害に、大変な夏であった。 土曜日の金谷郷土史研の講義、どうにか纏まりそうだ。要は「逸脱」である。自分の得意分野へ話を導けば、何とかなりそうである。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 庁事 庁事自古率以辰入、以未退、余随要省事、以辰入、以午退、 然一事無闕漏、従吏得暇、皆大喜、欲令之就学也、 但退後民有告而出者、余与主簿、一人出庁事、不再労民也 (解読) 庁事 庁事 (ちょうじ) 、古 (いにし) えより、辰 (辰の刻) を以って入り、未 (未の刻) を以って 退 (ひ) くの 率 (りつ) 。 余 (よ) 、要 (必要) に随い事を省 (はぶ) く。辰を以って入り、 午 (午の刻) を以って退く。 然し、一事も 闕漏 (けつろう) 無く。 従吏 (じゅうり) 暇 (ひま) を得、皆な大喜び。 これ就学を せしむを欲す なり。但し、退 (ひ) き後、 民 (たみ) 告げて出る者有れば、 余 (よ) と 主簿 、一人出庁の事、再び労 (つと) める 民 (従吏) はなきなり。 (語注) ※ 庁事(ちょうじ)➔ 役所の仕事。 ※ 率(りつ)➔ さだめ。きまり。 ※ 闕漏(けつろう)➔ 必要な事物が欠け落ちていること。もれ。おち。 ※ 従吏(じゅうり)➔ 下役人。 ※ せしむを欲す ➔ ~ させたいと思う。 ※ 主簿(しゅぼ)➔ 帳簿をつかさどる人。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(66)坂井山崩

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台風25号は東へ反れて行き 上陸は免れたようだ  当地も大きな被害もなく過ぎた 2026.9.21 台風25号も過ぎた。心配していた、名古屋のアジア大会も予定通り進んでいるようだ。昔は災害は前触れなくやってきた。今日の 「 蕉園渉筆」のテーマの山崩れは何が原因だったのだろう。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 坂井山崩 癸未秋、大風雨坂井邑民夜半山崩、大石壊屋、土砂埋没、 梁木傾墜、傷脚、 驚醒匍匐潜梁隙赴母寝所、破屋抱出、 去出二子、妻乳初生児、圧於屋下、 不能救出、 急呼隣人、 鑿土砂二丈許、而及之、児死妻蘇、余以状聞于太公、 急馳伝有周急之恵、褒其先老母 (解読) 坂井山崩 癸 (みずのと) 未 (ひつじ) (文政6年、1823) 秋、大風雨、坂井邑 (むら) 民 (民家) 、 夜半 (やはん) 山崩れ、 大石、屋 (家屋) を壊す。土砂に埋没 (まいぼつ) 、 梁木 (りょうぼく) 傾き墜 (お) つ。 脚を傷め、驚き醒 (めざ) め、 匍匐 (ほふく) して 梁 (はり) の隙 (すき) を潜 (くぐ) り、母の寝所に赴 (おもむ) き、 破屋 (はおく) から 抱 (かか) え出る。二子は出で去り、妻と 乳初生児 (にゅうしょせいじ) 、 屋下 (おくか) に圧せられ、 救出能わず。急いで隣人を呼び、土砂を二丈許り 鑿 (うが) ち、而 (しか) してこれに及ぶ。 児 (ややこ) 死に、妻蘇 (よみが) える。 余 (よ) 、状 (書状) を以って太公に聞く。 急ぎ馳 (は) せ伝 (つた) え、 周急 (しゅうきゅう) の 恵み有り。それ、老母を先んずるを褒 (ほ) むる。 (語注) ※ 梁木(りょうぼく)➔ 棟とうちちがえに柱の上に渡して屋根を支える材木。 ※ 匍匐(ほふく)➔ 腹ばいになって、手と足ではうこと。 ※ 乳初生児(にゅうしょせいじ)➔ 生まれたばかりの乳児。新生児。 ※ 屋下(おくか)➔ 屋根の下。 ※ 周急(しゅうきゅう)➔ 危急を救うこと。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(65)甘蔗

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砂糖キビから砂糖を絞り出す(昔の沖縄の風景) 相良でも同様の風景があったのだろうか 2026.9.20 今月の山を越し、(すべての講座を終えた)今日は一日、半睡状態で過ごした。テレビは点いているが、ほとんど見てはいなかった。ただこんな風にだらだら過ごすのは今日だけにする。 土曜日は金谷郷土史研の講義を頼まれている。「竹下村誌稿」の「沿革」編について、二時間というが、何を話そうか。そもそも、 「竹下村誌稿」は郷土資料であって、 誌稿は、何も主張していない。だからなかなか扱いにくい材料である。 今週はこの課題を前に、苦労しそうである。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 甘蔗 官庭試甘蔗八九茎、其受風揺曳甚可愛、及十月嘱製造家、 為自糖、得二斤許、 余不培不養、不盈十茎而其利如斯、 宜哉民之利而作也、有一絶曰、 長葉柔茎舞戦風、 不培不養漸生叢、誰知如雪如霜物、出個青々翠々中 (解読) 甘蔗 官庭 (かんてい) 、 甘蔗 (かんしょ) 八、九茎 (くき) を試 (こころみ) る。 それ風を受け 揺曳 (ようえい) 、甚だ可愛 (かわ) い。 十月に及び、製造家に嘱 (たの) み、自 (みずか) ら糖と為す。 二斤 (にきん) 許りを得 る。 余 (よ) 、培 (つちか) わず養 わず。十茎に盈 (み) たずして、その利、斯 (か) くの如 し。 宜 (よろ) しきかな、民の利、而 (しこう) して作るなり。 一絶 (いちぜつ) 有り、曰く、   長葉柔茎舞戦風    長葉柔らかく、茎、戦 (そよ) ぐ風に舞う。   不培不養漸生叢    培 (つちか) わず養わず、漸 (だんだん) 生 (お) い叢 (しげ) る。   誰知如雪如霜物    誰が知る、雪の如き、霜の如き物、   出個青々翠々中    個 (その) 青々 (せいせい) 翠々 (すいすい) 中より出ずるを。 (語注) ※ 官庭(かんてい)➔ 役所の庭。 ※ 甘蔗(かんしょ)➔ さとうきび。 ※ 揺曳(ようえい)➔ ゆらゆらとゆれてなびくこと。 ※ 二斤(にきん)➔ 一二〇〇グラム。(一斤は六〇〇グラム) ※ 一絶(いちぜつ)➔ 一つの 絶句 。 ...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(64)紙鳶/川崎花山

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  相良凧 2026.9.19 午前、初心者、午後、経験者と、金谷宿大学「古文書に親しむ」2講座を実施した。この頃は、漸く気を楽に講座が進められる余裕が生まれたような気がする。 ただ、2講座の日は、疲れが倍に感じるのは歳のせいか。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 紙鳶 遠州弄紙鳶、始於十二月至五月六日而止、形与都下紙鳶殊矣、 図画分際尽裁去露骨、々如篭、飾以錦天鵝絨類、相良稍質、 掛川甚文、一紙鳶価用数金云 (解読) 紙鳶 遠州、紙鳶(しえん)を弄(もてあそ)ぶ。十二月に始め、五月六日に至り止む。 形、都下 紙鳶 (たこ) と殊 (こと) にする。図画 分際 (ぶんざい) を尽し、 裁去 (さいきょ) し、 骨を露 (あらわ) にする。骨、篭 (かご) のごとく、錦 (にしき) 、天鵝絨 (ビロード) 類を 以って飾り、 相良稍 (やや) 質 (しつ) 、掛川甚だ 文 (あや) 、一と紙鳶 (たこ) の価 (か) 、 数金 (両) を用うと云う。 (語注) ※ 紙鳶(しえん)➔ 凧(たこ)のこと。 ※  分際(ぶんざい)➔ それぞれに応じた程度。ほど。 ※ 裁去(さいきょ)➔ 裁ち切って除く。 ※ 質(しつ)➔ 飾り気がない。 ※ 文(あや)➔ いろどり。美しさ。見事さ。 (原文) 川崎花山 今茲乙酉二月川崎後山一民先花時栽桜三五種、 十数日之際不期而植者遠近数百人、 山之後背桜凡千七百株、 桃百余株、至三月尽華、余往観焉、自遠眺之成雲成霞、 稍上花益艶、香益喫(潔)、花間隔大海、豆之諸山青如染、 駿之富嶽雪嶺挺然于其巓与花相映発、又帆影隠見於林表、 奇不可言、実壮観也 (解読) 川崎花山 今茲 (ここ) 、乙酉 (きのととり) 二月 (文政8年、1825) 、川崎後山、一民 (民家) 先、花時、 桜三、五種栽 (う) え、 十数日の際 (あいだ) 、期せずして、植える者、遠近数百人。 山の 後背 (こうはい) 、桜凡 (およ) そ千七百株、 桃百余株。三月に至り尽 (ことごと) く 華 (はな) 。余、観 (み) に往く。遠くよりこれを眺むに 雲になり霞になり、 稍 (やや) 上の花、益 (...

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(63)砂糖

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ご近所の側溝に咲くヒガンバナ 白と赤の競演   2026.9.18 午後、駿河古文書会で静岡へ行く。雨を心配しないのは何日ぶりであろうか。 今日は、会長の当番で、さすがに解りやすい、聞きやすい講義であった。何よりもゆっくりと読まれるのがよい。講座を聞きながら、色々なことが気になり、意識が横道に反れることがあっても、どこを読んでいるか、すぐに追いつくことが出来る。 何とか、真似たいと思うが、なかなか難しい。特に漢字の読み方には大変気を使われているようで、追いつけないところが多い。いつまでも、我々の見本として、講義を聞かせて頂きたいと思う。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文)   砂糖 遠州砂糖白黒共暑月消解、大坂大蔵十九衛、客歳過官舎、 嘗工於制作、 固謀之、 火侯与撹拌之度両不得、 及去浮漚之未十分也、乃令民受其訣、 然後能耐久而不消解、 送江都直増価、民大利矣 (解読) 砂糖 遠州砂糖、白黒とも 暑月 (しょげつ) 消え解 (と) ける。 大坂 大蔵 (おおくら) 十九衛 (とくべえ) 、 客歳 (かくさい) 官舎にて過ごす。 嘗 (かつ) て制作を工 (たく) み、固 (もと) よりこれを謀 (はか) り、 火侯 (かこう) と 撹拌の度、両を得ず。 浮漚 (ふおう) これを去るに及び、未だ十分ならざるなり。 乃 (すなわ) ち、民にその 訣 (けつ) を受けせしむ。 然る後、能 (よ) く耐久して 消え解けず。 江都 (江戸) に送り、直ぐに価 (か) を増す。民 (たみ) 大きな利。 (語注) ※ 暑月(しょげつ)➔ 暑い季節。夏。 ※ 大蔵十九衛(おおくらとくべえ)➔ 大蔵徳兵衛(永常)。江戸時代の三大農学者の一人。 ※ 客歳(かくさい)➔ 去年。昨年。 ※ 火侯(かこう)➔ 火のかげん。 ※ 浮漚(ふおう)➔ 泡。 ※ 訣(けつ)➔ 秘訣。奥義。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(62)仮夫/甘蔗・蕃薯

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  甘蔗(かんしょ)(サトウキビ) 蕃薯(ばんしょ)(サツマイモ)   2026.9.17 一日、土曜日の金谷宿大学「古文書に親しむ(経験者)」の準備。雨続き、と嘆いたが、今日は気持ちよく晴れた。しかし一日パソコンの前で過ごす。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 仮夫 相良福岡、船脚常役送運、多在他州、其娶婦必以不在父母 親戚相議傭人為仮夫、整伉儷之礼、帰則不別行礼 (解読) 仮夫 相良の福岡では、 船脚 (ふなあし) や 送運 に、常の 役 にて、多く他州に在 (ざい) す。 その婦 (つま) を娶 (めと) るに、必ず不在を以って、父母、親戚、 相議 (あいぎ) し 、 仮 (かり) の夫として人を傭 (やと) い、 伉儷 (こうれい) の礼を整え、 帰りて 則 (すなわ) ち、別に礼 (結婚式) を行わず。 (語注) ※ 船脚(ふなあし)➔ 船の進むこと。船の進行。(船頭を指す) ※ 送運(そううん)➔ 荷運び。(船員を指す) ※ 役(やく)➔ もっぱらのつとめ。唯一の仕事。 ※ 相議す(あいぎす)➔ 互いに相談し合う。 ※ 伉儷(こうれい) ➔ 夫婦。「伉儷之礼」結婚式のこと。 (原文) 甘蔗・蕃薯 寛政中、命先官賜甘蔗苗、藝之旱地、民種而不培、 召工製作者、教之、 民稍知利、殖之、今則盛作、 甚則至於種上田、蕃薯亦然 (解読) 甘蔗・蕃薯 寛政中 (1789~1801)  、 先官 (せんかん) に命じて、 甘蔗 (かんしょ) の苗を賜 (たま) い、 これを旱 (ひでり) 地に藝 (う) え、民 (たみ) 種 (う) えて培 (そだて) えず。 工 (たくみ) 製作者を召して、これを教え、民稍 (やや) 、利を知り、これを殖 (ふや) す。 今則ち盛んに作る。甚 (はなは) だ則 (すなわ) ち、上田に種 (う) えるに至る。 蕃薯 (ばんしょ) また然り。 (語注) ※ 先官(せんかん)➔ 蕉園の前任の代官 ※ 甘蔗(かんしょ)➔ さとうきび。 ※ 蕃薯(ばんしょ)➔ さつまいも。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(61)毛稲/曝麦

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曝麦 (麦干し)   2026.9.16 一日、土曜日の金谷宿大学「古文書に親しむ(初心者)」の準備。この一月、雨を見ない日はないほどの雨続き、もううんざりだ。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 毛稲 遠州四時日風、故往古尽藝毛稲云、近世挙喜無毛禾、 何則民力衰、不及古、 有労於脱粟也、余諭復古、尓後無風損也 (解読) 毛稲 遠州 四時日 (一日中) 風、故 に往古 (おうこ) 尽 (ことごと) く毛稲を藝 (う) えると云う。 近世 (きんせい) 、挙げて 無毛 禾 (むもういね) を喜ぶ。 何則 (なんとなればすなわち) 、 民力衰 (おとろ) え、古えに及ばず。 脱粟 (だつぞく) に労 (ろう) 有るなり。 余 (よ) 、古 (いにし) えに復すを諭 (さと) す。爾後 (じご) 、 風損 (ふうそん) 無きなり。 (語注) ※ 四時日(しじにち)➔ 一日中。 ※ 無毛禾(むもういね)➔ 葉・葉鞘・頴(えい=籾の殻)に毛がほとんど存在しない稲品種群。 「毛稲」はその反対の稲。 ※ 何則(なんとなればすなわち)➔ なぜかといえば。それは。 ※ 脱粟(だつぞく)➔ 籾殻を取り去っただけで精白していない米。 ここでは「脱穀」の意。 ※ 風損(ふうそん)➔ 「無毛稲」は風損に弱いのであろう。 (原文) 曝麦 遠州曝麦禾、不用喬杆、展地上而曝、部内唯堰河以東用喬杆、 者狭于駿也、 其用与不用大有損益、用喬杆者米有光沢一也、 量有余贏二也、食而味美三也、 売而価貴四也、貯而耐久五也、 展地者反也、而民未服 (解読) 曝麦 (麦干し) 遠州 曝麦 禾 (ばくばく か) 、 喬杆 (きょうかん) 用いず。地上に展 (ひろ) げて曝 (さら) す。 部内 (領内) 、唯 (ただ) 、堰河 (大井川) 以東、 喬杆 (きょうかん) を用 (もち) う。 駿 (駿河) に 者狭 (はざま) なり。その用うと用いざる、大いに損益あり。   喬杆 (きょうかん) を用いるは、米 (こめ) 光沢あり、一なり。   量 余贏 (よえい) 有り、二なり。   食 (たべ) て味 (あじ) 美 (よ) し、三なり。   売...