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「蕉園渉筆」(漢文)を読む(75)蛇入穴

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昨日、静岡中央図書館内より 城北公園を眺める 2026.10.03 今日は土曜日なれども、何事もなく、雨は降らなかったが、家を一歩も出ずに終わった。 今日から、「冨士人穴物語」を解読冊子に加えようと、作業を始める。かつて読んで、その解読文を古文書会の仲間に見せたところ、間違いをたくさん指摘された。その御仁はその直後、まだ若くして亡くなられたと聞いた。何とも辛くて、その後「冨士人穴物語」は十年以上、段ボール箱の中に入れたままであった。それを思い出して、今日取り出して来た。亡くなった人は、名前はおろか、面影すら忘れてしまったが、「冨士人穴物語」のあらすじは覚えている。今日は3ページほど作業を終えた。まだ10分の1くらいかと思う。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 蛇入穴 朝比奈村民戸之女、樵於山野、忽然思睡、枕薪而臥、一蛇入阴中、 驚醒視之、入数寸、自以手抜之、後其隣邑女亦入陰中、拔之不脱、 医捕蝦蟇跨其上、不出終死云 (解読) 蛇入穴 朝比奈村、 民戸 (みんこ) の女、山野に 樵 (きこ) る 。 忽然 (こつぜん) 思睡 (しすい) 、 薪を枕にして臥す。 一蛇、阴 (陰) 中に入り、驚き 醒 (めざ) めこれを視る。 数寸入り、自ら手でこれを抜く。 後、その隣り邑 (むら) の女、また陰中に入り、これを拔き脱せず。 医 (医者) 、蝦蟇 (がま) を捕らえ、その上に跨 (また) がす。出でず、終に死すと云う。 (語注) ※ 民戸(みんこ)➔ 民家。 ※ 樵(きこ)る ➔ たきぎを切り出す。 ※ 忽然(こつぜん)➔ にわかに。突然。 ※ 思睡(しすい)➔ 強い眠気を覚えること。眠りたいと思うこと。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(74)(火事不能償)

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「浦止春」か「浦山春」か 2026.10.02 午後、駿河古文書会に出席した。課題を早く終えて、担当講師のO氏の御先祖が写された「小堀遠州、書き捨ての文」を解読された。O氏の御先祖は書家としても有名で、読んでも楽しい。中に一ヶ所、写真の部分があった。これをどう読むか。 O氏はこれを「浦止春」と読まれた。当て字と変体仮名「春(す)」で、「羨(うらやま)ず」の意味で読まれた。意味と読み方には異論はないが、文字は「浦山春」ではないかと思った。「止」と「山」は筆文字ではよく似ていて、どちらとも読めそうだが、「浦山敷(うらやまし)」の当て字の用例があるから、「浦山」に軍配を上げたい。 発言をしてみたが、同意は得られなかった。果たしてO氏の御先祖はどの文字のつもりで書かれたのであろう。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) (火事不能償) (()内の表題は自分が便宜的に命名。以下同じ) 下平川籏下士、本多氏采地也、里正頗富、邑主仮金数而不償、 去歳冬税吏又命之、辞以無見存銀、其夜誤失火、焼千金不能報状也 (解読) (火事不能償) 下平川、 籏下士 (はたかし) 本多氏采地 (領地) なり。里正 (村長) 頗 (すこぶ) る富み、 邑主 (名主) 仮金 (借り金) 数えて償 (つぐな) わず。 去歳 (去年) 冬、 税吏 (ぜいり) またこれを命ず。銀存 (あ) るを見ずに辞す。 その夜、誤り失火。 千金を焼き、報いる能 (あた) わざる 状 (じょう) なり。 (語注) ※ 籏下士(はたかし)➔ 下級の武士。 ※ 税吏(ぜいり)➔ 税務を扱う官吏。 ※ 状(じょう)➔ ありさま。ようす。 (続く)

【活動の記録】と【読了図書】9月1日~9月30日

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  脇の水路の土手で、誰が植えたものでもない 柿の木が実を五つばかり付けた 次郎柿のように見えるが、多分渋柿 誰も手を付ける人も居ないだろうから 取って干し柿にしようかと思う 10月、雨も止んでいよいよ干し柿の季節の到来である 2026.10.1 今日から10月。朝から珍しく快晴。 天候も少しは秋らしくなるのであろうか。 めっきり読書量が減った。時代小説を卒業したからだが、おかげで名古屋のアジア大会の色々な種目を見ている。日本人の活躍を見るのはやはり楽しい。 9月の 【活動の記録】と【読了図書】を記しておこう。   *******************************************************    【活動の記録】 9月1日    夜、 金谷宿大学教授会。 9月2日    夕方 、河村泰子先生通夜 。 9月4日    午後 、 駿河古文書会出席。 9月9日    午後 、まきのはら塾「古文書解読を楽しむ」 講座(講師)。 9月10日   午後、 掛川古文書講座受講。 9月12日   午後、「静岡の考古学と歴史」講座受講。 9月13日   朝 、 竹下大井神社清掃。後、竹下6班会合。 9月18日   午後 、 駿河古文書会出席。 9月19日    午前、 金谷宿大学「古文書に親しむ(初心者)」講座教授。         午後、金谷宿大学「古文書に親しむ(経験者)」講座教授。 9月26日   午後、 金谷郷土史研、「竹下村誌稿」講演会、第4回(講師)。 9月29日   午前、 斎藤医院、定期健診。 8月25日   午後 、 駿河古文書会基礎コース(講師)。 【読了図書】 読書:「 鋼鉄のレガシー 」  堂場瞬一 著 読書:「琉球布紀行」 澤地久江 著 【解読本】 蕉園渉筆(漢文)上      小島 蕉園著  (解読本11冊目) 現在作業中のもの   蕉園渉筆(漢文)の続き (当ブログに連載中)         

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(73)信書

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  脇の水路の土手で 早くもススキが穂を出していた 雨続きだけれども 季節は確実に進んでいるようだ 2026.9.30 昨日、定期受診で、夫婦でS医院へ行く。インフルエンザの流行が早まっていると 聞いているので、いつから予防注射が受けられるかと聴けば、まだ始まりで本格的流行には時間があると云い、10月半ば頃からと言う。去年も接種したので、次回11月の時に、接種を受けられるように予約してきた。インフルエンザには、今まで罹ったという、記憶も自覚も無いのだが、念の為である。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 信書 都下諸友所贈答書、相約以同紙長短均者、積為策子、 閑時灯火覧之、恰如相晤於一堂、亦旅況之一韵(韻)事也、 老杜句、家書抵万金、故人之書亦然、固題以抵万金 (解読) 信書 都下 (江戸表) 諸友、贈る 答書 (とうしょ) 、同紙長短、均 (なら) したものを以って 相 約 (やく) し 、 策子 (冊子) として積む。 閑時 (かんじ) 灯火にこれを覧 (み) る。 恰 (あたか) も一堂において相晤 (うちとけ) るが如し。 また 旅況 (りょきょう) の 一 韵 (韻) 事なり。 老杜 (ろうと) 句、 家書 (かしょ) 万金 (まんきん) に抵 (あた) る。 故人 (こじん) の書、 また然り。 固 (もと) より 万金 に抵 (あた) るを以って題 (しる) す。 (語注) ※ 答書(とうしょ)➔ 問い合わせに対する返答の書状。 ※ 策子(さっし)➔ 冊子。綴じ本(巻本に対して)。 ※ 旅況(りょきょう)➔ 旅のありさま。旅行中の状況。 ※ 韵(いん)➔ 「韻」に異体字。おもむき。ようす。風流。 ※ 老杜(ろうと)➔ 中国盛唐の詩人、杜甫の異称。晩唐の詩人、杜牧を小杜というのに対していう。 ※ 家書(かしょ)➔ 自分の家の蔵書。 ※ 万金(まんきん)➔ 多額の金銭。千金。 ※ 故人(こじん)➔ 古くからの友人。昔の友達。旧友。 (続く)

I氏開発の梨の新品種「富慈緑」

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高校の同級生、I氏開発の梨の新品種「富慈緑」 2026.9.29 明石在住の、高校の同級生I氏から手紙が来た。電話に出ないからと、手紙をくれたのだが、申し訳ない、スマホには自分で登録した以外の電話には出ないことにしている。もともと自分のスマホは、自分が掛ける時、専用と決めている。だから、普通、電話は家電話で受けている。随分身勝手な使い方と思うが、この年になって、新しいことが煩わしくなっているからである。それはさておき、スマホに出ないので、手紙が来た。 I氏は高校教諭から農業高校の校長まで勤め上げた方で、専門は「農業・園芸」、高校退職後、梨の新品種の開発に手掛けられ、 新品種「富慈緑」 を開発された。 梨には「青梨」と「赤梨」があり、故郷では梨といえば、「青梨」の「二十世紀」のことであったが、当地へ来て店頭を見ると、すべて「赤梨」であった。 「赤梨」の方が 「青梨」よりも糖度が高いから、 「二十世紀」は世紀の終わりとともに、見られなくなった。 しかし、青梨の青みがかった透き通るような黄色い肌、僅かな酸味とみずみずしさは、 懐かしい故郷の味である。その 「青梨」の 新品種「富慈緑」 は実に美しい黄緑色で、甘みと酸味が絶妙のバランスだという。 実は、そういう自分もまだ食べたことがない。「確か出来たら送るよ」と言ってくれたような気がするが。食べてみたいものである。

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(72)平田寺文書

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庭のホソバヒイラギナンテンの実 もう何十年も庭に在りながら その実をじっくり見るのは初めてである   2026.9.28 雨続きである。止みそうでなかなかさっぱりした晴れは続かない。専ら室内で古文書解読か、アジア大会の観戦の毎日である。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。 *********************************************************************** (原文) 平田寺文書 余嚮観平田寺所蔵、孝謙帝天平感宝詔書、寄諸友書中及此事云、 詔尾橘豊成名、書尤佳、蓋名所自筆也、白藤報曰、 豊成横萩右太臣而中将姫之父。此時未聞有橘姓也、 蓋別人矣、 是藤原豊成誤筆橘豊成也、他諸友無報、 独白藤詰之、可謂益友矣 (解読) 平田寺文書 余 嚮 (さき) 、平田 (へいでん) 寺所蔵、孝謙帝、天平感宝 詔書 (しょうしょ) を観る。 諸友への書中に寄せて、 この事云うに及ぶ。 詔尾 (しょうび) 、橘豊成の名、 書もっとも佳 (よ) し。蓋 (けだ) し、名自筆 (じひつ) の所なり。 白藤、報 (しら) せて曰く、豊成、 横萩右太 (大) 臣 にして中将姫の父。 この時、未だ橘 (たちばな) 姓に有ったとは聞かざるなり。蓋し別人なり。 これ藤原豊成、橘豊成と誤筆なり。他の諸友、報せなし。 独り白藤これを詰 (つ) める。可謂 (いわゆる) 益友 (えきゆう) なり。 (語注) ※ 嚮(さき)➔ 以前。 ※ 詔書(しょうしょ)➔ 律令制で、天皇の詔(みことのり)を記した文書。 ※ 詔尾(しょうび)➔ みことのりの終り。 ※ 横萩(よこはぎ)右大臣 ➔ 豊成は、別名「横佩(萩)大臣(よこはぎのおとど)」と呼ばれた。 ※ 益友(えきゆう)➔ 交わってためになる友人。 (続く)

「蕉園渉筆」(漢文)を読む(71)本間春城

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裏の畑のニラの花 2026.9.27 昨日午後、なんとか 金谷郷土史研の講義、2時間を終えた。「課題」が自分には 少し 「過大」であったか。 「 蕉園渉筆」解読の続きを載せる。今日の課題は難しい。 *********************************************************************** (原文) 本間春城 按部之日憩於下平川医人本間春城家、壁上粘精里翁七絶、 書甚佳、其詩原上鳴騶、 散晩闇、行窩市近酒堪賖、 山雲也会打垂法、不見芙蓉見断霞、打垂法不通、 主人質於予、 余亦不詳、問之東都諸友、白藤報書云、郡康節有打垂吟、 程子和之、 打俗語無意、思垂法蓋垂戻世人之謂也 、 是精里倍林祭酒於野邨君玉宅、時所作、 其日白藤亦倍坐、 当時質問也、君玉家於牛門内復原、原上字亦於是明了 (解読) 本間春城 按部 (あんぶ) の日、下平川の医人 (医者) 本間春城家に憩 (いこ) う。 壁上に 精里翁 (せいりおう) の 七絶 (しちぜつ) を粘 (は) る。 書、甚だ佳 (よ) し。その詩 (漢詩) 、    原上鳴騶散晩闇    原 上に 鳴 騶 (いななき) 、 晩闇 (ばんあん) に散る。    行窩市近酒堪賖     行窩 (仮寓) 、市 (いち) に近く、酒、 賖 (おぎの) りて             堪 (たのし) む。    山雲也会 打垂法     山雲 (さんうん) また会いて、 垂法 (すいほう) を打つ。    不見芙蓉見断霞    見えざる芙蓉 (富士) 、霞を断ちて見る。 「打 垂法 」通じず、主人、予に質 (ただ) す。余また詳 (つまびらか) ならず。 これを東都諸友に問う。白藤 報書 (ほうしょ) に云う。 郡康節 、「 打垂吟 」有り。 程子 (ていし) これに和し、俗語を 無意 (むい) に打つ。垂法 (手本) を思い、蓋 (がい) して 垂 (手本) に戻る、世人の謂 (いわ) れなり。 これ 精里 、 野邨 (野村) 君玉 宅において、 林祭に倍 (陪) し、酒の所作 (しょさ) の時、 その日、白藤また 倍 (陪) 坐 し、 当時質問なり。君玉家、 牛門 (ぎゅうもん) 内 復原において、「原 (復原) 上」の字、またこれ 明了 (めいりょう) 。 (語注) ※ 按部(あんぶ)➔...