町内犬「ゴロ」のこと

 垂れ耳が可愛い雑種ちゃん」大阪府 - 犬の里親募集(140919) :: ペットのおうち【里親決定29万頭!】
ゴロはこんな犬だったような気がする 
(ネットより写真拝借)
あんまり可愛くないなぁ  

2025.8.29  

我が故郷の町内は、北の角から南の角まで、十数軒ずつの町家が向かい合っていた。その一区画は、寺区一隣保、ニ隣保と呼ばれていた。今では考えられないことであるが、その一区画に、小学生の頃、町内犬「ゴロ」が居て、北の角から南の角まで約200メートル足らずの間を守備範囲として、日中警備をしていた。

隣町の火薬店の居宅に飼われていて、朝夕食もそこで済まし、昔のことゆえ、ロープで繋ぐことなどしてないから、我が町内に朝出勤してきて警備に付く。だれもそんな指示をしたわけではなく、つまりはゴロ自身の思いで行っているのである。

ゴロは、茶色の毛のやせ形、耳が垂れ、目も垂れた、鼻の周りが黒い、昔はどこにでもいたような雑種の中型犬であった。 

我が町内には、当時子供が多く、まだ犬を飼っている家などなかったから、いつでも誰かがゴロの遊び相手になってくれた。当時はほとんど自宅にいた奥さん方も、たまにはゴロに余り物をくれたりした。そして、いつの間にか、我が町内を昼間の住みかとして、住人の顔をすべて覚えてしまった。

常に出入りしている郵便屋さん、出前の店員、町内の家へ来る知人、友人なども、ゴロはよく見分けて、それ以外の不審者を見ると、近くに寄って吠える。吠えながら付き従って、町内を抜けるまで吠え続ける。これが町内犬「ゴロ」の町内警備であった。 

町内を通り抜けるだけの人には、えらい迷惑な話であるが、ゴロは吠えるけれども、決して攻撃的ではなく、町内を抜けるとぴたりと鳴き止み、子供たちのところへ戻ってきた。そんなゴロについて、誰一人苦情をいう人はなかった気がする。これ「犬徳」という奴であろうか。

そのお蔭か、我が町内にはコソ泥や押し売りなど、ほとんどなかったような気がする。ゴロのおかげだったのかもしれない。

その内、何年かすると、町内にゴロを見なくなった。自分たちも中学生になって忙しくなっていた。

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