人口減少問題を考える(1)年功序列から成果第一へ

この頃、日本の人口がすごい勢いで減少していると聞く度に、政治家の無策ぶりに腹を立てている。このような人口減少になることは、予測されていたことで、予測通りの結果となっている。口では人口減対策は緊急の課題だと言いながら、何も対策をしていないと同じことである。
東京への一極集中化がいよいよ進み、地方の過疎化はどんどん進み、ただただ、我がもの顔の熊の進出に手を拱いている。地方の自治体は、他の自治体からの移住促進に力を入れているだけで、日本の人口減対策にはなっていない。
このような事態を招いた原因を考えるに、その主原因に、日本の企業がグローバル化の名のもとに、江戸時代から営々と築いてきて、日本発展の基となったきた年功序列の制度を捨てて、成果第一主義に転換したことが挙げられよう。
30年前、アメリカなどからグローバル化をと急き立てられて、日本は、成果第一主義が何たるかを十分理解しないで、成果第一主義に切り替えてしまった。勤労者もそれが何を招くかを考えずに、若い人は自分たちの給料が上がると期待した向きもあったかもしれない。
しかし、成果第一と言いながら、だれが成果を計るのか、当時から疑問に思っていた。年功序列とは大過なく年を過ごしたことを成果とみている。誰かが恣意的に計る成果ではない。見方を変えれば最も公平な成果主義といえたのではないだろうか。
自分の古くからの友人で、大手の研究所へ長年勤めていたが、晩年御家騒動に巻き込まれ、負け組の一員とみなされて、早期退職に追い込まれた。このようなことが、成果第一主義をとる大手で行われるのである。何が成果なのか、首を傾げるしかない。
近頃の若い人は、すぐに転職をしてしまうと、企業はいうけれども、年功序列で長く勤めれば年々給料は上がってゆくならば、転職することはない。年功序列を捨てた結果だと思うべきだ。この頃は、現有社員よりも新入社員のほうが給料が高いというケースもあるという。何が成果第一なのだろう。
成果第一主義に切り替えて、最も得をしたのは、人を雇う企業側で、成果第一主義の名のもとに、年々給料を上げる必要が無くなった。当然、内部留保が増えるわけだが、企業は当時バブルに浮かれて、その崩壊とともに大金を失った。あるいはその穴埋めに何年もベースアップが不要になった資金が使われた。本来将来のための設備投資、あるいはに研究開発向けるべき資金を、穴埋めに使わざるを得なかった。空白の30年はこのように推移して、あれだけ技術力を誇っていた日本も、今やその技術力で後進国に大きく水を開けられている。
コメント
コメントを投稿