誰がこんな21世紀を想像したか(5) おれおれ詐欺が始まりで
2025.9.29
思えば、おれおれ詐欺が始まりだった。犯行はなんとなく素人っぽく見えていたが、次から次へと、世間で注目されることがあると、それから見事に詐欺を考え付く。詐欺拠点も日本から海外、東南アジアの国境地帯へと移っていく。詐欺のビジネス化である。
日本のお年寄りはお金持ちである。生活はつましくとも、ちゃんとした貯えをもっている。しかも、長い人生で、人を疑うことなく過ごしてこれた。だからだまし、だまされやすい。もっぱらターゲットになってしまった。
実行者は少しずつ捕まってきているが、大本は未だに姿を見せない。当局は首謀者について見当がついているのだろうか。自分の想像では、様々な締め付けで、日本に居づらくなった暴力団が中国マフィアなどと結びついて、詐欺のビジネス化をしたのではないか。暴力団の海外進出であるが、ターゲットは日本のお年寄りである。資金源などからも、どうやら、素人からプロへ詐欺が展開して行ったとおもわれる。
日本の警察は暴力団の資金源を断つことに懸命で、それなりに成果を上げて来た。しかし、どこか間違っていないか。暴力団の構成員はいずれも一般人がどこかで道を外れて、暴力団に入ってしまった。暴力団は道を外れた人々の最後の受け皿だった。そこが潰れると構成員たちはどこへ行けばいいのか。その最後の受け皿を考えて置かなければ、構成員はいずれ見えない地下へもぐってしまう。
どうやらそういう人たちが海外進出して、詐欺ビジネスに勤しんでいるのではないか。そんな想像をしてしまう。日本の警察は当然それらを把握していながら、海外ゆえに手が出せないでいるのであろうと。
昔はどんな詐欺事件でも、犯人は顔を晒していた。ところが、ネット環境が著しく発展して、顔を晒さなくても詐欺が出来るようになってしまった。そういう犯罪に対して、ネット環境を提供する側はあまりに無防備だったと思う。我々年寄りの前半生には、ネット環境など一切存在しなかった。だから、この年になって、分からないことには決して手を出さないことである。分からないことは分からないと拒否すれば、決して詐欺に掛かることはない。まだまだ、ネット世界に入らなくても、十分生活できる。
しかしながら、誰がこんな21世紀になってしまうと想像したであろうか。一生掛けて、老後のために貯蓄に励んだまじめなお年寄りが、見ず知らずの人たちに、その貯蓄をむしり取られていくのを見聞きするのはつらいことである。
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