65年ぶりの山手樹一郎
2025.10.11
自分にとって、時代小説は定年退職後の読書の楽しみと考えて、現役中は、あえて読まずに取ってあった。さて、定年退職後に時代小説を解禁して、一方で古文書解読で江戸時代の古文書に日々格闘していることもあって、図書館から次々に、主に文庫本の時代小説を、借りて読んできた。
佐伯泰英、風野真知雄、藤井邦夫、鈴木英治、鳥羽亮、稲葉稔(以上100冊越)、坂岡真、池波正太郎、佐藤雅美、藤原緋沙子、小杉健治、倉阪鬼一郎、井川香四郎、上田秀人(以上50冊越)、岡本さとる、辻堂魁、佐々木裕一、藤沢周平(以上30冊越)、諸田玲子、平岩弓枝(以上20冊越)等々の時代小説を読んできた。
とは言っても、いずれも図書館から借りて読むわけで、図書館の蔵書に限りがある。ふと、図書館の文庫棚から山手樹一郎の時代小説を手に取っていた。山手樹一郎は、現代の時代小説全盛の先駆けとなった作家である。いずれこういう時が来るであろうとは思っていた。
今から65年ほど前、自分が中学生の頃、小学校の恩師N先生のお宅に出入りしていたことはどこかで書いた。その当時、先生の書棚に写真の山手樹一郎全集がずらりと並んでいた。ある時、全集の一冊を借りて読んだ。面白かったのであろう、返しては借りて、ほぼ読みつくした記憶がある。
筋書きはほとんど覚えていないが、主人公の剣豪は滅多に人を斬らないで、悪人の改心を説く。かどわかされた女性は、一旦関係を持つと、それがどんな悪人でも、その男の味方になってしまう。そんなものなのかと、不思議に感じながら、読んだ印象がある。
定年退職後、時代小説を読み始めて、いつかここへ戻ってくるだろうと思っていたが、いよいよ始まった。子供のころに感じた印象が、今どう変わるのか、自分でも楽しみである。
その手始めが「浪人若さま颯爽剣」である。
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