自分古文書(17)東海道五十三次ウォーク(静岡県二十二宿)(29)

熊野ゆやの長藤

2026.4.5

朝から火曜日の駿河古文書会基礎講座の準備をする。課題の影本も差し替えしなければ講座がやりにくいので、虫食い跡残した影本に差し替えるつもりである。曰く、古文書には虫食いが大切なヒントになると話そうと思う。差し替えた影本では細かい部分までよく解読出来て、満足できる講座にする自信が出来た。

東海道ウォーク九日目を続けよう。ゴールはもう近い。

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歩くには江戸の昔より今が難所の天竜川

豊田町 → 浜松宿 → 舞坂宿

日時 平成7年10年28日(土) 快晴のち曇り

先週の週末は鈴さん・和さん・臼さんは大菩薩嶺へ一泊二日の大名登山旅行へ行った。川さんは写真仲間と尾瀬へ撮影旅行だったという。和さんは腰を傷めて、今日はよほど中止してもらおうかと思ったという。また臼さんは風邪気味だという。しかしそれぞれに問題を抱えながら、歩ける所まで歩こうと出発する。

二週間前に疲れて歩いた豊田町駅のホームだが、今日は足取りも軽い。まずは、和さんの腰を心配しながら歩き始める。

豊田町駅分岐より旧東海道へ戻る。前回お休みだった『ねんや文具店』へは戻らず、スタンプは行興寺で押すことにして先へ進む。間もなく長森立場のサインがある。

見付宿 5.4km 【長森立場】 浜松宿 9.7km

立場(たてば)とは、街道で人夫が駕籠などを止めて休息する所である。この長森は『長森かうやく』で有名な所であった。山田与左衛門が始めた膏薬は、シモヤケ・アガキレによく効いて、街道筋では有名だった。次のような文句が残っている。今で言えばキャッチコピーであろうか。

諸人の よき評判や 長森の 諸病に菊の 五もんかうやく

国道とバイパスを横切る辺りで、少し道を間違えて、一本天竜川寄りの道を歩いてしまった。旧東海道は池田の渡船場へ向けて、天竜川に沿って北へ上がる。池田に熊野ゆやの長藤で有名な行興寺がある。

池田の宿は平安時代の後期から賑わった。ここに長者がいて、遊女を大勢養っていたという。長者に熊野御前という娘(一説には遊女)がいて、遠江の国司の平宗盛に見初められ、召されて京に上った。時がたって、熊野御前は故郷の母の病気を機会に帰郷しこの地で没した。

行興寺には母の墓と並んで熊野御前の墓がある。また熊野御前が植えたといわれる長藤は有名で、花時には花の下が花見客で大賑わいとなる。ちなみに当時の美人番付では、一位が手越の千寿、二位が熊野、三位が黄瀬川の鶴亀だという。

今朝は境内に参詣する人影もなく静まり返っている。本堂前で『東海道』スタンプ『豊田町』をつく。庫裏へ回って御朱印も貰う。休憩している所に、花を持った老人が覚束ない足取りでやって来て、長藤の説明をしてくれた。

東海道スタンプ「池田の渡し」

本堂前の境内にある五本の長藤は、県指定の天然記念物で、樹齢300年、樹高2.5メートル、花房1.5メートル、藤棚が低くて、下を歩くと花房に当たって傷めてしまうので、コンクリートの棚に代えるとともに嵩上げした。本堂横の一本はさらに五〇年ほど古くて、国の天然記念物になっている。名付けて『熊野ゆやの長藤』という。こちらは触れないので、昔のまま低い木製の藤棚のままである。さらに裏手には、花見客が多くて手狭なために、町で植えた長藤がある。これも樹齢が50~100年位はありそうにみえた。いずれも、樹齢から熊野御前が植えたものではなさそうだ。

天竜川の土手に出た所に、『池田橋の跡』の石碑があった。土手上は車の通りの激しい道路になっているので、それぞれ思い思いに土手下の道、土手の棚地、土手の路肩を歩く。そして、危うく土手下の神社に池田渡船場のサインがあるのを見逃す所であった。

見付宿 7.0km 【池田渡船場】 浜松宿 8.1km

サイン通りであれば、ここから東海道は河原へ出たようだ。この天白神社には土俵があり、ここの奉納相撲は天竜川を挟んだ地区の若者同士が力を競い合い、その勇壮さから喧嘩相撲といわれていると立て札にあった。この地域の神社の境内には、土俵が築かれている所が多く、相撲が盛んな地域なのだろうと思った。

土手の下に、平成になってから建てられた天竜川渡船場跡の石碑があった。かって天竜川は渡し船で渡った。池田から天竜川の中洲へ渡り、一度船から降りて中洲を歩き、再度渡し船で渡るという二瀬越えが行われ、だから比較的容易に渡れた。そのため大井川のように両岸に宿場が発達することもなく、見付宿から浜松宿までは十五キロも距離が離れているのに、不便がなかった訳である。

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