「蕉園渉筆」(漢文)を読む(4)埋木、獲一断㯘于水土中

筆架(写真はネットより借用)

2026.6.25

朝起きたら、また、東北で大きな地震があったという。津波は無いようで、人的被害は少なく済むと思う。日本は地震対策が進んでいて、この程度では大ごとにならないけれども、今日、ベネズエラであった大地震は大変なことになっているようだ。

「蕉園渉筆」の続き。

(原文)

埋木、獲一断于水土中

相良郷二十四、鎌倉氏時、蓋相良太郎食邑云、徳村其一也、

邑民浚田間小渠、一断水土中伝云、

建久年、太郎坐事移于肥後州人吉、距今六百有余年矣、

意、断当時宮材也而毫無腐朽、黒沢如漆、堅実如鉄、

敲之鏗爾有響、同邑窪清名、顔好事、請而得之、

携来索記、乃作拙文畀之、割愛恵少許、作筆架、置于机上、

古色可玩、実六百年以外物也

(解読)

埋木、獲一断㯘于水土中

 相良郷二十四(村)鎌倉氏の時、蓋(けだ)し、相良太郎食邑(しょくゆう)と云う。

 徳村その一つなり。(村)民、田の間の小渠(みぞ)を浚(さら)い、

 水土中に一断㯘(だんかん)を獲(え)る。伝に云う、建久(1190~99)年、

 太郎坐事(ざじ)し、肥後州(国)人吉に移る。今を距てる六百有余年、

 意(おもう)断㯘当時の宮材なり。

 而(しか)して(ごう)も腐朽(ふきゅう)なく、黒沢(こくたく)(うるし)の如く、

 堅実(けんじつ)鉄の如し。これを敲(たた)く鏗(おと)、その響きあり

 同邑(むら)窪清という名の、顔好事(かおこうず)(う)けてこれを得、

 携(たずさ)え来たり、記(しる)すを索(もと)む。

 乃(すなわち)(せつ)文を作りこれを畀(あた)う。

 「割愛恵少許、作筆架、置于机上、古色可玩、実六百年以外物也。」

 【読み下し】割愛(かつあい)し、少し許り恵む。筆架(ひつか)を作り、

   机上に置く。古色(こしょく)を玩(もてあそ)ぶべし。

 実に六百年以外(前)の物なり。

(語注)

※ 食邑(しょくゆう)➔ 知行所。領地。
※ 断㯘(だんかん)➔ 木切れ。木片。
※ 坐事(ざじ)➔ ある罪や過失について、連座して責任を問われること。
※ 毫も(ごうも)➔ 少しも。
※ 腐朽(ふきゅう)➔ 腐ること。朽ち果てること。
※ 黒沢(こくたく)➔ 黒いつや。
※ 堅実(けんじつ)➔ ものが堅くて丈夫なこと。
※ 顔好事(かおこうず)➔ 好事家。物好きの顔役。
※ 拙(せつ)➔ 自称。男性が自分をへりくだっていう語。
※ 割愛(かつあい)➔ 惜しいと思いながらも省略したり捨てたりすること。
※ 筆架(ひっか)➔ 筆をもたせかけておく台。筆掛け。
※ 古色(こしょく)➔ 古めかしい色合い。古びた趣。

埋木の一部を譲り受け、筆架に加工したという話である。

(続く)

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