「蕉園渉筆」(漢文)を読む(6)無杜鵑/珍味、馬鮫魚/松蕈
2026.6.30
サッカーワールドカップも自分の中では終わった。前評判の割には世界の壁は厚かったというべきなのであろう。
「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。
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(原文)
杜鵑、無杜鵑
〇遠州無杜鵑、土人不知歌詩咏、何等声也、雁亦至希矣
(解読)
杜鵑、無杜鵑
〇遠州杜鵑(ほととぎす)なし。土人(どにん)、咏(うた)う歌詩、
何等どのような声やを知らず。雁もまた至る希(まれ)なり。
(語注)
※ 土人(どにん)➔ 土地の人。
※ 何等(なんら)➔ どのような。
(原文)
珍味、馬鮫魚奉楽翁侯
〇馬鮫魚遠州第一珍味。大三四尺至六七尺、出
為醃、奉桑名老侯、謝曰、居大都会未喫如此美味、占悋為下物
(解読)
珍味、馬鮫魚奉楽翁侯
〇馬鮫魚(さわら)、遠州第一珍味。大きさ三四尺より六七尺に至る。
相良出のものは最も佳(よ)い。客歳甲申(文政七年)冬、
醃(しおづけ)にして、桑名老侯に奉(ほう)ず。謝して曰(いわ)く、
大都会に居ると、未だ、かくの如き美味を喫せず。下物(酒の肴)として
悋(おし)み占す。
(語注)
※ 客歳(かくさい)➔ 去年。昨年。
※ 醃(えん)➔ 塩漬けにする。
※ 桑名老侯(くわなろうこう)➔ 楽翁。松平定信。引退後、息子が桑名藩の藩主となる。定信は桑名には行かなかったが、このように呼ばれた。
※ 喫す(きっす)➔ 食う。飲む。吸う。
※ 下物(げぶつ)➔ 酒の肴。
※ 占す(せんす)➔ 自分のものにする。
(原文)
松蕈、松蕈
〇遠州松蕈処々産焉、南原及小笠為佳品、余昔
在甲州、喫産塩山者、其大且気味之深、於今
夢寐、二所之種、夐不及焉、
(解読)
松蕈、松蕈
〇遠州、松蕈(まつたけ)処々(しょしょ)に産す。南原及小笠
佳品(かひん)を為す。余、昔甲州に在す。塩山産のものを喫(きっ)し、
その大きさ、且つ気味(きみ)の深さ、今も夢寐(むしょう)。
二所、南原・小笠の種、夐(はるか)に及ばず。
(語注)
※ 佳品(かひん)➔ よい品物。
※ 気味(きみ)➔ 香りと味。
※ 夢寐(むび)➔ 眠って夢を見ること。
※ 気味(きみ)➔ 香りと味。
(続く)
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