「蕉園渉筆」(漢文)を読む(40)田沼

牧之原史料館前、田沼意次像

 2026.8.24

明日の駿河古文書会基礎講座の準備を終えた。今月は中々忙しく、自分の古文書講座3講座に加えて、駿河古文書会基礎講座2講座、金谷郷土史研の「竹下村誌稿」の講義一件と都合6件の講義があった。それも明日で最後となる。一ヶ月、6講座はいささか草臥れる。次の山は来年の3月になる。3月は全部で7講座が予定されている。

蕉園渉筆」解読の続きを載せる。

***********************************************************************

(原文)

田沼

癸未歳(文政六年也。此年四月蕉園赴任)

以封内一万石之地、換賜於摂州、所収三十邑、

賜諸参政田沼侯、以其旧封也、民慕 太公之仁、

愁訴数回、余以聞于 太公、公憐其為小侯之民、

然 台命不可回也、固其嘗所仮二千余金、折券賜之、

余又以聞曰、封内聞之欲為其民也、 公允余言速下 命、

合五千余金、同日折券、可謂賢明至仁之君矣

(解読)

田沼

癸未(みずのとひつじ)(年)(文政六年なり。この年四月、蕉園赴任(ふにん)

封内(ほうない)一万石の地を以って、摂州と換え賜(たま)う。

三十邑(村)所収(しょしゅう)、参政田沼侯、諸(もろもろ)(たま)わる。

その旧封を以ってなり。民 太公(たいこう)(じん)を慕(した)い、

愁訴(しゅうそ)数回、余以って、 太公に聞く。公、小侯の民たるを憐(あわれ)む。

然し、 台命(たいめい)(かえ)すべからざるなり。これを賜(たまわ)る。

(もと)より、その嘗(かつ)二千余金(せつけん)

余また聞いて曰く、封内(ほうない)これを聞き、その民たるを欲するなり。 

公、余の言を允(ゆる)し、速下(即下)、 合わせて五千余金を命じる。

同日折券(せつけん)、賢明と謂(い)うべし。仁の君に至る。

(語注)

※ 封内(ほうない)➔ 領内。
※ 所収(しょしゅう)➔ ここでは、「年貢」のこと。
※ 太公(たいこう)➔ 高齢の人をうやまっていう語。一橋治済のことか。
※ 仁(じん)➔ 愛情を他に及ぼすこと。いつくしみ。なさけ。思いやり。
※ 愁訴(しゅうそ)➔ つらい事情を明かして嘆き訴えること。また、その訴え。
※ 小侯(しょうこう)➔ 下位の諸侯。
※ 台命(たいめい)➔ 貴人の命令。
※ 折券(せっけん)➔ 棒引き。
※ 速下(そっか)➔ 即下。すぐあと。

続く)

コメント

このブログの人気の投稿

おたふく風邪と母子手帳/詐欺電話にご注意!

「かさぶた日録」改め「かさぶた残日録」開始

今年度最初の掛川古文書講座