「蕉園渉筆」(漢文)を読む(45)怪談/掛蘭

着生蘭の一種、風蘭(フウラン)(ネットより)
ただし、「掛蘭」が風蘭であった可能性は低い

2026.8.29

どこへも行かず、何事もなし。したがって、天気模様も知れない。冷房に頼っていると、今日の暑さ加減も分からない。これでは少しまずかろうと思うが‥‥‥

蕉園渉筆」解読の続きを載せる。

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(原文)

怪談

雨宮廟令、中村斎宮、好怪談、所聞必記、

所疑名字所処其人不告者不遠千里往窮之、積年所致盈数十冊、

近梓其十一云、亦州之一奇人也哉

(解読)

怪談

雨宮廟令(天宮神社)中村斎宮、怪談を好み、聞く所、必ず記(しる)す。

(も)し疑しき所、名字(苗字)、所処(しょしょ)、其人、告げざるもの、

千里を遠くとせず往き、これを窮(きわ)める。積年(せきねん)

(み)ち致すところ数十冊、近くその十一を上梓(じょうし)すと云う。

また州(遠州)の一奇人なるかな。

(語注)
※ 怪談 ➔「事実証談」遠江国天宮神社神主、中村乗高が二〇年余の歳月をかけて採集した霊異記。
※ 雨宮廟令(あまみやびょうれい)➔ 森の天宮神社神主。
※ 中村斎宮(なかむらさいぐう)➔ 中村乗高神主。
※ 積年(せきねん)➔ 積もる年月。長い年月。多年。
※ 上梓(じょうし)➔ 書物を出版すること。(梓(あずさ)は印刷用の版木。


(原文)

掛蘭

掛蘭都人所罕観、遠州山中処々有焉、

嘗看岡豊洲所齎帰対州山中之種花之香之深夐別、不知今殖否

(解読)

掛蘭

掛蘭(かけらん)都人(とじん)(まれ)に観る所、遠州山中、処々に有り。

(かつ)て、岡豊洲が齎(もたら)し帰ったところの、対州(対馬)山中の種を看るに、

花の香りの深く夐別(けいべつ)なり。今、殖(ふ)やしたか否かを知らず。

(語注)

※ 掛蘭(かけらん)➔ 着生蘭。樹木の幹・枝・岩肌に根を張って生きる蘭。
※ 都人(とじん)➔ 江戸に住む人。都に住んでいる人。
※ 夐別(けいべつ)➔ はるかに異なる。格別である。

(続く)

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