「蕉園渉筆」(漢文)を読む(25)坂井
「さがらめ」とも称す。
海帯はこのことか。
2026.8.5
一日、金曜日の駿河古文書会の予習。文字が我流というか、中々手ごわい。
この教材は基礎講座の講師を頼まれていて、どう説明するかなどと考えて、手間取る。
「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。
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(原文)
坂井
坂井村民、高天神役移于駿之富士山下、帰住者僅二十余家、
爾後二百余年、民窮甚矣、近時知投洋中采海帯、稍々致富、
挙邑務農、采海帯、朝則夙就業、夜則斉織席、愈勤愈利、
買田作船、戸々有蓄、然而能守倹、行不躡履、坐不布席、
戸数今三倍於古、甲申冬余聞于太公有賞賜、励他村里、
須々木邑、貧民有子数人、近時又生品胎、共無恙、
先官聞太公、公憐之賜金十円云
(解読)
坂井(坂井村村民)
坂井村民、高天神の役(えき)にて、駿(州)の富士山下に移る。
帰住者僅(わず)か二十余家、爾後(じご)二百余年、民(たみ)甚だ窮(きゅう)す。
近時、洋中に(身を)投げ、海帯(かいたい)を採ることを知る。稍々(やや)致富(ちふ)す。
邑(むら)を挙げて農に務め、海帯を採り、朝、則(すなわ)ち夙(つと)に業に就き、
夜、則ち織席(しょくせき)に斉(そろ)う。愈(いよいよ)勤め、愈利(り)し、田を買い、
船を作る。戸々に蓄え有り。然して能(よ)く倹(けん)を守り、履(はきもの)を
躡(は)かず行き、席(むしろ)を布(し)かず坐る。戸数今、古(いにしえ)の三倍。
甲申(文政七年)冬、余、太公賞賜(しょうし)有りて、他村里(そんり)を励ますと聞く。
須々木邑(むら)、貧民、子数人有り。近時また品胎(ひんたい)を生む。(母子)共に
恙(つつが)なし。先官、太公に聞き、公憐(こうれん)の賜金(しきん)十円と云う。
※ 爾後(じご)➔ ある事があってからのち。そののち。それ以来。以後。
※ 窮す(きゅうす)➔ 行きづまって身動きのとれないこと。貧乏する。
※ 海帯(かいたい)➔ 昆布などの海草。
※ 致富(ちふ)➔ 豊かな富を得ること。富裕になること。
※ 夙に(つとに)➔ 朝早く。
※ 織席(しょくせき)➔ 茣蓙(ござ)打ち。
※ 倹(けん)➔ むだやぜいたくをしないようにして、出費をきりつめること。倹約。
※ 太公(たいこう)➔ 高齢の人をうやまっていう語。一橋治済のことか。
※ 賞賜(しょうし)➔ 功績などを賞して物を与えること。
※ 品胎(ひんたい)➔ 三つ子。(「品」の字は三つの口)
※ 公燐(こうれん)➔ 公の憐み。
※ 賜金(しきん)➔ 天皇や政府から下賜される金。
※ 円(えん)➔ 明治に通貨単位になる前は、円は小判が丸いことから、両を指した。十円は十両。
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