「蕉園渉筆」(漢文)を読む(61)毛稲/曝麦

曝麦(麦干し)

 2026.9.16

一日、土曜日の金谷宿大学「古文書に親しむ(初心者)」の準備。この一月、雨を見ない日はないほどの雨続き、もううんざりだ。

蕉園渉筆」解読の続きを載せる。

***********************************************************************

(原文)

毛稲

遠州四時日風、故往古尽藝毛稲云、近世挙喜無毛禾、何則民力衰、不及古、

有労於脱粟也、余諭復古、尓後無風損也

(解読)

毛稲

遠州四時日(一日中)風、故に往古(おうこ)(ことごと)く毛稲を藝(う)えると云う。

近世(きんせい)、挙げて無毛(むもういね)を喜ぶ。何則(なんとなればすなわち)

民力衰(おとろ)え、古えに及ばず。脱粟(だつぞく)に労(ろう)有るなり。

(よ)、古(いにし)えに復すを諭(さと)す。爾後(じご)風損(ふうそん)無きなり。

(語注)

※ 四時日(しじにち)➔ 一日中。
※ 無毛禾(むもういね)➔ 葉・葉鞘・頴(えい=籾の殻)に毛がほとんど存在しない稲品種群。「毛稲」はその反対の稲。
※ 何則(なんとなればすなわち)➔ なぜかといえば。それは。
※ 脱粟(だつぞく)➔ 籾殻を取り去っただけで精白していない米。ここでは「脱穀」の意。
※ 風損(ふうそん)➔「無毛稲」は風損に弱いのであろう。

(原文)

曝麦

遠州曝麦禾、不用喬杆、展地上而曝、部内唯堰河以東用喬杆、者狭于駿也、

其用与不用大有損益、用喬杆者米有光沢一也、量有余贏二也、食而味美三也、

売而価貴四也、貯而耐久五也、展地者反也、而民未服

(解読)

曝麦(麦干し)

遠州曝麦(ばくばくか)喬杆(きょうかん)用いず。地上に展(ひろ)げて曝(さら)す。

部内(領内)、唯(ただ)、堰河(大井川)以東、喬杆(きょうかん)を用(もち)う。

駿(駿河)者狭(はざま)なり。その用うと用いざる、大いに損益あり。

 喬杆(きょうかん)を用いるは、米(こめ)光沢あり、一なり。

 余贏(よえい)有り、二なり。

 (たべ)て味(あじ)(よ)し、三なり。

 売りて価(か)(たか)し、四なり。

 貯(たくわ)えて耐久(たいきゅう)、五なり。

地に展(ひろ)げるは(はん)なり、しかして民(たみ)未だ服さず。

(語注)

※ 曝麦禾(ばくばくか)➔ 稲麦干し。
※ 喬杆(きょうかん)➔ 稲掛け。稲木(いなぎ)。稲架(はざ)
※ 者狭(はざま)➔ 狭間。間(はざま)。
※ 余贏(よえい)➔ 物のあまり。残り。
※ 耐久(たいきゅう)➔ 長持ちすること。
※ 反(はん)➔ 逆の事をする。逆。

(続く)

コメント

このブログの人気の投稿

おたふく風邪と母子手帳/詐欺電話にご注意!

「かさぶた日録」改め「かさぶた残日録」開始

今年度最初の掛川古文書講座