「蕉園渉筆」(漢文)を読む(55)義士伝/住吉明神

吉田町 住吉神社

2026.9.10

今日は涼しくなって、午後、薄いジャンバーを羽織って、掛川古文書講座へ出席した。

蕉園渉筆」解読の続きを載せる。

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(原文)

義士伝

赤穂義士伝記、不知其幾数本、余嘗所覧凡五六種、

此木邑医家所蔵二十巻、蓋実録也、拠此書加他本及所伝聞、

各立伝作穂城史、未脱稿

(解読)

義士伝

赤穂義士伝記、その幾数(いくかず)の本を知らず。余(よ)、嘗(かつ)て、

凡そ五六種を覧(らん)ずる所、比木(ひき)(むら)医家所蔵二十巻、

(けだ)実録(じつろく)なり。この書の拠(よ)りどころに、

他本及び伝聞する所に加えて、各(おのおの)立伝(りつでん)

穂城(赤穂城)史を作る。未だ脱稿(だっこう)せず。

(語注)
※ 比木邑(ひきむら)➔ 城東郡比木村。現、御前崎市比木。
※ 実録(じつろく)➔ 実際にあったことをそのまま記録した文書や本。事実の記録。
※ 立伝(りつでん)➔ 人物の事績を立てて記すこと。人物伝を作ること。
※ 脱稿(だっこう)➔ 原稿を書きおえること。


(原文)

住吉明神

吉田邑有住吉明神社、邑民喫鰻鯉必有神罪云。

里正林蔵過府中吏舎、喫煙話数刻、俄然

口吻腫脹、其日吏家焼鰻鯉、婢供其火喫煙也、

聞之起盥嗽謝神、即時如故

(解読)

住吉明神

吉田邑(むら)に住吉明神社あり。邑民(ゆうみん)、鰻鯉(うなぎ)を喫(く)うと

必ず神罪(罰)有りと云う。里正(名主)林蔵、府中吏舎(りしゃ)にて過ごす。

喫煙、数刻話し、俄然(がぜん)口吻(こうふん)腫脹(しゅちょう)、その日、

吏家(りか)にて鰻鯉(うなぎ)を焼く。婢(はしため)、その火を喫煙に供(きょう)すなり。

これを聞き、盥嗽(かんそう)を起こし、神に謝(しゃ)す。即時、故(もと)の如し。

(語注)
※ 邑民(ゆうみん)➔ 村人。
※ 吏舎(りしゃ)➔ 役所・官庁の建物。役人の詰め所。
※ 俄然(がぜん)➔ にわかなさま。
※ 口吻(こうふん)➔ 口さき。くちびる。
※ 腫脹(しゅちょう)➔ 炎症などが原因で身体の一部が腫れること。
※ 吏家(りか)➔ 役人の家。
※ 盥嗽(かんそう)➔ 手を洗い、口をすすぐこと。

(続く)

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