「蕉園渉筆」(漢文)を読む(37)天狗/同(天狗二題)
2026.8.20
昔の人は天狗に何をみていたのだろうか。「蕉園渉筆」には天狗の話がよく出てくる。
「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。
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(原文)
天狗
〇堂山邑、文蔵、一日過落居村漁家、入夜而帰、恵大鯔魚乃携沿海而去、
適見赤火自空中来、所謂天狗火也、怯而蔵岸上船底、伏念仏名、
振々動船甚急、以為欲魚乃抛与之、須臾如去、出而窺之、魚在岸上唯抉取両眼耳
(解読)
天狗
〇堂山邑(むら)文蔵、一日落居(おちい)村の漁家(ぎょか)で過ごし、夜に入りて帰る。
大鯔魚(ぼら)に恵まれ、乃(すなわ)ち海に沿って、携(たずさ)えて去る。
適(たまたま)赤い火、空中より来たるを見る。所謂(いわゆる)天狗火なり。
怯(おび)えて岸上(がんじょう)船底に蔵(かく)れ、伏せ仏名を念ず。
振々(ぶるぶる)船動き、甚急(じんきゅう)。以為(おもえらく)魚を欲す、
乃(すなわ)ち、これを抛(なげう)ち与(あた)う。須臾(しゅゆ)に去る如し。
出でてこれを窺(うかが)う。魚は岸上に在り。唯(ただ)両眼を抉(えぐ)り取るのみ。
※ 天狗火(てんぐび)➔ 日本各地に伝承のある怪現象。怪火の一種で、主に水辺に現れるとされる。
※ 岸上(がんじょう)➔ 岸辺。岸のほとり。
※ 甚急(じんきゅう)➔ さし迫る。
※ 以為(おもえらく)➔ 思っていることには。考えるには。
※ 須臾(しゅゆ)➔ 短い時間。しばらくの間。ほんの少しの間。
(原文)
同(天狗二題)
〇相良平田坂井等海上、天狗時々捕魚、燃赤火翌往見之、
魚数頭在岸上砂磧中、皆抉取両目、人怯無拾取者、云。
〇相良波津者、途中見天狗頂所蹋草鞋、伏地、天狗速去矣
(解読)
同(天狗二題)
〇相良、平田、坂井等、海上、天狗時々魚を捕る。赤火燃え、翌(あくるひ)往き
これを見るに、魚数頭(すうとう)、岸上(がんじょう)砂磧(しゃせき)中に在り。
皆、両目抉(えぐ)り取り、人怯(おび)え、拾い取る者なしと云う。
〇相良波津の者、途中、天狗頂所(ちょうしょ)を草鞋(わらじ)で蹋(ふ)むを見る。
地に伏せ、天狗速(すみや)かに去る。
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