「浦止春」か「浦山春か
2026.10.02
午後、駿河古文書会に出席した。課題を早く終えて、担当講師のO氏の御先祖が写された「小堀遠州、書き捨ての文」を解読された。O氏の御先祖は書家としても有名で、読んでも楽しい。中に一ヶ所、写真の部分があった。これをどう読むか。
O氏はこれを「浦止春」と読まれた。当て字と変体仮名「春(す)」で、「羨(うらやま)ず」の意味で読まれた。意味と読み方には異論はないが、文字は「浦山春」ではないかと思った。「止」と「山」は筆文字ではよく似ていて、どちらとも読めそうだが、「浦山敷(うらやまし)」の当て字の用例があるから、「浦山」に軍配を上げたい。
発言をしてみたが、同意は得られなかった。果たしてO氏の御先祖はどの文字のつもりで書かれたのであろう。
「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。
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(原文)
(火事不能償)(()内の表題は自分が便宜的に命名。以下同じ)
下平川籏下士、本多氏采地也、里正頗富、邑主仮金数而不償、
去歳冬税吏又命之、辞以無見存銀、其夜誤失火、焼千金不能報状也
(解読)
(火事不能償)
下平川、籏下士(はたかし)本多氏采地(領地)なり。里正(村長)頗(すこぶ)る富み、
邑主(名主)仮金(借り金)数えて償(つぐな)わず。
去歳(去年)冬、税吏(ぜいり)またこれを命ず。銀存(あ)るを見ずに辞す。
その夜、誤り失火。千金を焼き、報いる能(あた)わざる状(じょう)なり。
(語注)
※ 籏下士(はたかし)➔ 下級の武士。
※ 税吏(ぜいり)➔ 税務を扱う官吏。
※ 状(じょう)➔ ありさま。ようす。
(続く)
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