「蕉園渉筆」(漢文)を読む(77)般若寺

園村般若寺の大般若経

 2026.10.05

先日、大阪の同級生、K氏からお見舞いの御礼なのだろう、地酒が送られてきた。お酒を飲まない自分には、何と御礼を云うべきか。もちろん普通に御礼を云えば済む事なのだが、古くからの友人故に、酒は飲まないことを正直にいうべきであろうと決心して、昨日電話をした。

お酒を飲まないと話すと、K氏も飲まないのだという。考えてみれば、お酒を飲む年齢の前に、関西と静岡に別れて60年経つ。その間、会う事すらめったになく、共に酒を飲んだような場面は記憶にない。だから、この年になって、お互いに相手がお酒を飲まないことを知らずに過ごしてきたことを知る。

頂いた地酒は縁者の酒飲みに提供するつもりだと、正直に話した。ただ正直が良かったのかどうか、自信はない。

「蕉園渉筆」解読の続きを載せる。

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(原文)

般若寺

園村般若寺有大般若経、住僧皆不知、至現住一徒弟掃除偶獲地板下、

匣半朽、経亦率腐、六百巻中僅存二百余巻、首尾不次、其書有工拙、

巻尾年暦建久或元久、筆者不一、蓋以漸全之也共六百歳以外書七十一之巻尤絶妙、

現住頗雅僧、惜耳聾不得話也

(解読)

般若寺

園村般若寺に大般若経(だいはんにゃきょう)有り。住僧皆(みな)知らず。現住に至り、

一徒弟掃除で、偶(たまたま)地板(じいた)下に獲(え)る。匣(はこ)半ば朽ち、

経(きょう)また率(おおむね)腐る。六百巻中、僅(わず)か二百余巻存(ぞん)す。

首尾不次(しゅびふじ)。その書工拙(こうせつ)あり。巻尾の年暦、建久(1190~99)

或いは元久(1204~06)、筆者一(ひとり)ならず。蓋(けだ)し、漸(ぜん)を以って

これを全(まっと)うす。也共(またとも)に六百歳(年)以って、外(ほか)書七十一の巻、

尤(もっとも)絶妙(ぜつみょう)。現住頗(すこぶ)る雅僧。

惜(あたら)、耳聾(みみがきこえず)、話し得ざるなり。

(語注)

※ 大般若経(だいはんにゃきょう)➔ 大乗経典。六百巻。唐の玄奘訳。「仁王経」「般若心経」以外の般若部諸経を集大成したもので、十六部からなる。般若波羅蜜の義、諸法皆空の理を説いたもの。大般若波羅蜜多経。
※ 地板(じいた)➔ 板を敷いた所。板敷き。板の間。
※ 首尾不次(しゅびふじ)➔ 始めから終わりまで。そろっていない。
※ 工拙(こうせつ)➔ 巧拙。じょうずとへた。
※ 漸(ぜん)➔ 少しずつ。
※ 絶妙(ぜつみょう)➔ この上なく巧みですぐれていること。
※ 惜(あたら)➔ 惜しいことにも。残念なことにも。

(続く)

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